犬猫にウーロン茶を飲ませてはいけない!
中国が本場といわれるウーロン茶は、烏龍、鉄観音など様々な種類があります。
中国茶の中でも、ウーロン茶は最も日本人に馴染みのあるお茶でしょう。
ダイエット効果などが知られ健康茶として認識されているので、愛犬愛猫の健康維持に役立つはずだと考える飼い主の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ウーロン茶は人間への健康効果は期待されますが、犬猫にとっては危険な飲み物なので飲ませてはいけません。
テーブルの上に置いておいたコップから愛犬愛猫が舐めたり飲んでしまうケースは多くあるので、飼い主は保管管理に注意が必要です。
ウーロン茶に関する注意点を解説します。
ウーロン茶、緑茶、紅茶の原料は同じ!
ウーロン茶の原料となる葉は『カメリアシネンシス』というツバキ科の樹から採られますが、この『カメリアシネンシス』の葉はウーロン茶だけではなく、緑茶、紅茶の原料となります。
この樹の葉を乾燥や発酵をさせてお茶は作られるのですが、この時、発酵を半発酵の状態で仕上げられるものがウーロン茶となります。
ちなみに、緑茶は発酵させずに作られるもの、紅茶は完全発酵させたものとなります。
ウーロン茶だけでなく、同じ原料から作られる緑茶、紅茶も犬猫には飲ませてはいけない飲み物なので注意が必要です。
カフェインは犬猫にとって危険な存在!
カフェインはコーヒー豆やカカオ豆、茶葉などに含まれている天然の成分です。
このカフェインには興奮作用があるといわれていますが、仕組みは下記の通りです。
カフェインは、神経を鎮静させる作用を持つアデノシンという物質と化学構造が似ており、ヒトの体内においてアデノシンが作用を発揮するために結合しなければならない場所(受容体)に結合します。その結果、アデノシンが受容体に結合できなくなることで、その働きが阻害され、神経を興奮させます。
神経を興奮させられる効果からエナジードリンクや眠気覚まし用飲料、風邪薬、酔い止めなどに使用されることあり、人間の生活に密着した存在です。
しかし、このカフェインを犬猫が摂取してしまうと中毒症状を引き起こしてしまうので大変危険であるといわれています。
カフェインによる中毒症状例
犬猫がカフェインを摂取した場合、下記のような中毒症状を起こすことがあります。
- 興奮した様子で落ち着かない、鳴いて動き回る
- 呼吸の乱れ
- 過剰なヨダレ
- 嘔吐
- 下痢
- 尿失禁
- ふらつき
- けいれん
これらの症状が現れている場合には、カフェインによる中毒症状を引き起こしている可能性が高くあります。
摂取量によっては重篤な症状を出し、命を落としてしまう事もあるほど危険な存在です。
犬猫がウーロン茶をどの程度飲んだら危険?
カフェイン飲料に含まれるカフェイン含有量【100g中】
ウーロン茶(茶15gを熱湯650㎖で30秒浸出) 20mg
玉露茶(茶10gを熱湯60㎖で2.5分浸出) 160mg
コーヒー(粉末10gを熱湯150㎖で浸出) 60mg
紅茶(茶5gを熱湯360㎖で1.5~4分抽出) 30mg
犬猫がカフェインを摂取した際の致死量は体重1kgあたり150mg程度といわれ、中毒症状は体重1kgあたり約20mgで現れると考えられています。
カフェイン飲料として代表的な玉露茶やコーヒーに比べればウーロン茶は少なく感じますが、犬猫1kgあたり約20㎎で中毒症状が現れるとなるとウーロン茶に含まれるカフェインも十分危険であることがわかります。
カフェインによる影響は個体差が非常に大きく、上記で挙げた目安量を下回る摂取でも、個体差によっては重篤な症状を引き起こす場合もあるのでほんの少しでも飲ませるべきではありません。
体格の小さな犬猫、そしてシニアの犬猫、何かしら持病を持つ場合には特に誤飲がないように注意する必要があるでしょう。
ウーロン茶に含まれるシュウ酸にも注意!尿路結石(尿石症)の原因に
ウーロン茶は緑茶(玉露を含む)、紅茶と並んでシュウ酸が多く含まれる飲み物として知られています。
尿路結石(尿石症)の種類のひとつにシュウ酸カルシウム結石があり、これは日々の食事でシュウ酸の過剰摂取が原因とされる場合が多くあります。
シュウ酸カルシウム結石の予防や再発防止策としては、シュウ酸を多く含む食材、飲料を控えるのがポイントとなります。
猫は特に尿路疾患を引き起こしやすいといわれており、犬も猫ほどではなくても起こりうる疾患なので、シュウ酸は過剰摂取にならないように注意が必要です。
中毒症状を引き起こす可能性があるカフェインも心配ですが、結石のリスク回避のためにもウーロン茶を犬猫に飲ませないようにしましょう。
まとめ
ウーロン茶は、コーヒーや緑茶(玉露含む)に比べてカフェイン含有量は少ないですが、犬猫にとっては危険とされるほどのカフェインが含まれているので、飲ませてはいけません。
カフェイン中毒は、犬猫1kgあたり20㎎で現れるといわれていますが、その影響は個体差によるものが大きいため、たとえ少量であっても与えるべきではありません。
またウーロン茶にはシュウ酸も多く含まれるため、少量であっても継続的に飲ませてしまうとシュウ酸カルシウム結石の原因となる可能性も考えられます。
ウーロン茶は健康茶として日本人に非常になじみ深いお茶で、手に入りやすく日常的に飲まれている方も多くいるでしょう。
テーブルの上に置いておいたものを犬猫が飲んでしまった、舐めてしまったなど状況は多く考えられますので、犬猫の届く場所に放置しないように注意しましょう。
また、誤飲が分かった場合には状況を確認し、飲んだ量や中毒症状の有無を確認し、動物病院へ相談しましょう。