犬猫はパパイヤを食べても大丈夫?
特有の芳香と甘み、なめらかな食感が人気のパパイヤ。
このパパイヤの果肉には犬猫が中毒症状を引き起こすような毒性は含まれていません。
犬の場合
犬は食肉目に分類されていますが、雑食性もあり、動物性と植物性の両方の食品を摂取して健康を維持していることがわかっています。
犬の腸の構造からも炭水化物の消化がほとんどできると考えられています。
パパイヤには様々な健康効果が期待され、犬の総合栄養食であるドライフードや様々な食品がに使用されることがあります。
これらのことから、犬はパパイヤは食べても大丈夫といえます。
ただし、パパイヤにはパパインという強い酵素による刺激やアレルギー等の発症が懸念される食材なので、全ての犬が食べても大丈夫というわけではありません。
猫の場合
猫は完全な肉食動物といわれています。
腸の構造も雑食や草食の動物と比べるとかなり短いことがわかっており、植物性の食品の消化吸収は苦手であることがわかっています。
ただし猫の健康維持に一切の炭水化物が不要という事ではなく、毛玉のケアや肥満対策として食物繊維が有効的であることも知られています。
中毒成分が含まれない事や、パパイヤによる健康効果が期待され猫用のフードに使用されることからも、猫はパパイヤを食べてはいけないとの断言はしませんが、通常の食事として生のパパイヤを与える必要はないでしょう。
消化不良を引き起こす懸念や、パパイヤにはパパインという強い酵素による刺激やアレルギー等の発症が懸念される食材なので、当サイトではパパイヤを猫に与える必要はないと考えます。
参考:Can Cats Eat Papaya? Everything You Need to Know!
参考:猫の消化器官
犬にパパイヤを与えるメリット
パパイヤにはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。
ビタミンC
パパイヤにはビタミンが豊富に含まれています。
中でもビタミンCは可食部100gあたり50㎎も含まれており、様々なフルーツの中でもトップクラスです。
ビタミンCには強い抗酸化作用が期待される他にも、細菌やウイルスに対抗する力があることや、皮膚への健康効果が期待されています。
β‐カロテン
パパイヤにはβ‐カロテンも豊富に含まれており、ビタミンC同様に強い抗酸化作用が期待されています。
また犬は人間と同様に体内でβ‐カロテンをビタミンAへ変換することができるので、紫外線から身を守る事や、目の健康維持に活躍します。
食物繊維
パパイヤには食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える他にも、コレステロールや有害物質の排出を促す効果や、便のカサを増し便通の改善にも活躍します。
パパイヤには水分もたっぷり含まれているので、便秘気味の犬には改善効果が期待できそうです。
イソチオシアネート
パパイヤにはアブラナ科によく含まれているイソチオシアネートが豊富に含まれているといわれています。
このパパイヤに含まれるイソチオシアネートについては
イソチオシアネートは、肝臓の解毒酵素(毒を無害化して体外に排出しやすくする酵素)の働きを促進し、発ガン性物質などの有害な物質を無毒化するのにも役立つといわれ、抗ガン剤やガン予防剤として使われる事も。当然、がんの食事療法でも注目されています。
また、消化促進や食欲増進などの作用もあり、血液をサラサラにして血栓を予防する効果があることも動物実験で明らかになりました。
との報告が確認されています。
犬への直接的な報告ではないので犬に対する効果については明確ではありませんが、食欲増進やがん予防、血栓予防に期待ができると考えられます。
参考:成長及び熟成期のパパイア果実中のベンジルグルコシノレート,ベンジルイソチオシアネート,及びミロシナーゼ活性
パパイヤを与える際の注意点
種を与えるのはNG!『カルパイン』に注意
パパイヤの種にはアルカロイドの一種である『カルパイン』と呼ばれる化合物が含まれているといわれ、大量に摂取すると犬猫にとって有毒になる可能性があります。
またその硬さから消化不良を引き起こす事も懸念されます。
パパイヤの種に含まれるカルパインの量は微量であるといわれており、少量であればその影響は少ないと考えられますが、犬や猫の個体差によってどの程度の量が悪影響を及ぼすのかは明確にわかっていません。
そのため、基本的にパパイヤの種は犬猫に与えるべきではないと考えます。
パパイヤによる即時型口腔アレルギーの懸念
パパイヤには強いたんぱく質分解酵素である『パパイン』が含まれているため、口腔アレルギーに注意が必要であるといわれています。
このパパインには、たんぱく質分解酵素として肉や魚の消化を促進し、胃腸への負担を軽減するなど嬉しい効果もあります。
しかしその強いたんぱく質分解酵素に反応して、食べた直後に口の周りをかゆがったり発疹が現れたりすることがあるので、食べた後の様子を十分に観察してあげましょう。
このパパインは青パパイヤに多く含まれている事がわかっています。
人間でも皮膚が弱い人が調理する際に素手で触るとかぶれてしまう事があるほどなので、当サイトでは青パパイヤを食べさせるのはおすすめできないと考えます。
参考:犬猫の食物アレルギー
パパイヤによるラテックスフルーツ症候群
ゴム製品に触れる事で起こる蕁麻疹、アナフィラキシーショック、喘息発作などの即時型アレルギー反応を起こす『ラテックスアレルギー』があります。
そのラテックスアレルギーの患者さんの中は、果物に対して交差反応を示すとの報告がされており、それを『ラテックスフルーツ症候群』と呼びます。
稀にではありますが、犬猫の中にもラテックスアレルギーを発症するケースはあるため、交差反応が懸念される食品にも注意が必要です。
パパイヤははこのラテックスフルーツ症候群のハイリスク食材ではありませんが、発症例のある果物として挙げられています。
もしゴム製のおもちゃやマットに触れてかゆがっていたりすればラテックスアレルギーを疑い、ラテックスアレルギーが疑われる犬猫へはパパイヤを与えるのは控えた方がよいでしょう。
パパイヤを食べた犬猫に異変があった場合
上記で解説したようにアレルギー等の危険性があるので、パパイヤを初めて食べる場合などは十分に食後の様子に注意し、異変があればすぐに動物病院で受診しましょう。
アレルギー反応・ラテックスフルーツ症候群の症状例
- 口腔内、口回りをかゆがってこする
- 発疹、蕁麻疹
- 下痢
- 嘔吐
- ゼーゼーしているような苦しそうな呼吸
- 意識障害
パパイヤは即時型のアレルギーの発症が多く、早ければ食べてから15分程度の経過でアレルギー反応を示すといわれています。
日ごろから日中、夜間共にすぐに相談ができる動物病院を調べておくことも大切です。
まとめ
パパイヤは犬猫が中毒症状を引き起こすような毒性はなく、パパイヤがもつ豊富なビタミンやミネラルなどの健康的メリットを得られる可能性があります。
ただし強いたんぱく質分解酵素の刺激によるアレルギー反応や、ラテックスフルーツ症候群の発症など様々な危険性もあり注意が必要です。
犬は消化の観点から適量であればパパイヤを食べても大丈夫と言えますが、猫は植物性食品の消化が苦手であり、パパイヤをたくさん食べてしまうと消化不良を起こす可能性があります。
これらの危険性を考えると、当サイトでは猫にパパイヤを意図的に与える必要はないと考えます。
パパイヤに対する知識を正しく持ち、パパイヤを犬猫に与えるかは飼い主の判断に委ねられるところにあります。