豚肉は鶏肉・牛肉と並んで私たちに最も身近な食用肉の一種です。
クセがなく柔らかな肉質をしており、どのような調理方法にもマッチするので世界中で様々な豚肉を使ったレシピが考案されています。
日本料理では「肉じゃが」「生姜焼き」「とんかつ」「豚汁」などがポピュラーで人気のある料理です。
なんらかの豚肉料理が好物という方も多いのではないでしょうか。
犬猫は豚肉を食べても大丈夫!
豚肉を原材料に含んだペットフードやペット用のおやつも販売されています。
本記事では、
- 豚肉の生食での危険性について
- 豚肉を犬猫に食べさせるメリットや注意点
- 愛犬愛猫用の豚肉を使った手作りレシピ
と言った内容をお話していきます。
豚肉の生食の危険性について
人が食べる時と同様に、犬猫が「生」の豚肉を食べることは大変危険です。
生の豚肉を口にすると、
- E型肝炎ウィルス
- サルモネラ菌
- カンピロバクター
- 有鉤嚢虫
- トキソプラズマ
といったウィルスや細菌、寄生虫など様々な病原体を体内に取り込んでしまう可能性があります。
症状としては下痢、嘔吐、発熱、肺炎、肝炎、黄疸(目や皮膚が黄色くなってしまう)などが考えられます。
こうした病原体は加熱することでその脅威がなくなるので、私たちが食べる時はもちろんですが、犬猫に豚肉を食べさせる時も十分な加熱処理を行いましょう。
万が一生の豚肉の誤食が発生した場合は、舐めた・少しかじった程度の少量であってもすぐに動物病院へ連絡してください。
参考:厚生労働省「豚のお肉や内臓を生食するのは、やめましょう」
豚肉の主な栄養素
豚肉100gあたりに含まれる栄養素
ロース(生) もも(生) ヒレ(生)
エネルギー 140kcal 119kcal 118kcal
たんぱく質 19.7g 18.0g 18.5g
脂質 5.1g 3.1g 3.3g
カリウム 360mg 370mg 430mg
鉄分 0.2mg 0.9mg 0.9mg
亜鉛 0.3mg 2.2mg 2.2mg
ビタミンB1 0.80mg 0.96mg 1.32mg
ビタミンB2 0.18mg 0.23mg 0.25mg
ナイアシン 13.0mg 11.0mg 12.0mg
ビタミンB6 0.38mg 0.33mg 0.54mg
ビタミンB12 0.3μg 0.3μg 0.5μg
ロース(生):【大型種肉】ロース 赤肉 生
もも(生) :【大型種肉】もも 赤肉 生
ヒレ(生) :【大型種肉】ヒレ 赤肉 生
参考資料:八訂 食品成分表 2022
豚肉は可食部位が細かく分かれていますが、その中から「ロース・もも・ヒレ」の栄養素をまとめました。
これらの部位は脂身が付いたものもありますが、表のものはいずれも赤身肉です。
脂身がついたままだと犬猫には脂質過剰となる可能性が高くなります。
豚肉を犬猫に食べさせるメリット
前項の栄養素表から、部位ごとに若干に違いがあるものの総じて低カロリーでたんぱく質を多量に持ちながら、カリウムやビタミンB群も豊富に含んでいることがわかりますね。
豚肉の主な栄養素と考えられるメリットを簡単にまとめます。
- たんぱく質:筋肉や臓器、皮膚、血管など、体の大切な部分を作る主成分です。
- カリウム:過剰に摂取されたナトリウムを体外に排出するので、高血圧の予防になります。
- ビタミンB1:豚肉の中でも特に多い栄養素です。疲労回復や精神の安定に効果的です。
- ビタミンB2:細胞の再生を促し、皮膚や粘膜の健康をサポートします。傷の治りを早くするのにも役立ちます。
- ナイアシン:ビタミンB群の一種であり、糖質や脂質の代謝を促進します。また、脳神経の働きもサポートします。
- ビタミンB6:たんぱく質の代謝を促進します。肝臓への脂肪の蓄積を抑制する働きもあり、脂肪肝の予防効果も期待できます。
- ビタミンB12:赤血球のヘモグロビンの合成を助け、貧血を防ぐ働きを持っています。
豚肉を犬猫に食べさせる時の注意点
食中毒の可能性!生食は絶対にNG
冒頭で述べたように豚肉は様々な病原体を保有している可能性がありますので、必ず加熱してから食べさせましょう。
生食は食中毒を引き起こす可能性があります。
脂質過剰の可能性。脂身は与えないようにしましょう
脂質は犬猫にも少量は必要ですが、普段からバランスの取れた食事を与えていれば適量摂取できています。
豚のロース肉の上部にあるような脂身部分をそのまま犬猫に食べさせると、脂質過剰となる可能性があります。
そうなると嘔吐してしまうこともありますし、肥満に繋がることも考えられます。
犬猫に豚肉を食べさせる時はロースなどの脂身を切り分けやすい部位や、ヒレのような脂肪分の少ない部位を選ぶようにしましょう。
バラ肉は赤身と脂身を分けるのが難しいので、犬猫に与えるにはあまり適していません。
健康状態に問題のある犬猫に豚肉を与える時は慎重に
豚肉に含まれるたんぱく質などの栄養素は、どれも健康な犬猫が適量摂取する分には体にいいものです。
しかし、腎臓病や肝臓病など病気を患っている犬猫に与えると逆に悪影響となってしまうことがあります。
愛犬愛猫がなんらかの病気を患ってしまった時の食事は、獣医師に相談し指導を受けたうえで慎重に選択するようにしましょう。
初めて食べさせる時は食物アレルギーに注意
初めて豚肉を食べさせる時は食物アレルギーに注意しましょう。
まずは少量から与えて様子を見るようにしてください。
- 目や皮膚の赤み、かゆみ
- 下痢・嘔吐
などの症状が現れる場合は食物アレルギーの可能性があります。食べさせるのはやめてください。
食物アレルギーは全ての食べ物で発生する可能性があります。アレルギーの多い子の食事は特に慎重に与えましょう。
愛犬愛猫用の「豚肉」を使った手作りフードレシピ
当サイト掲載の「豚肉」を使ったレシピを2つ紹介します。
だし汁のみで味付けして作る犬猫用の肉じゃがです。
愛犬愛猫は野菜が食べづらいかも?という時は、煮た後にスプーンなどで崩してあげましょう。
ご家庭で簡単に作ることができる豚タンジャーキーのレシピです。
おやつやトッピングとして少量与えましょう。
【まとめ】犬猫は豚肉を食べても大丈夫!
犬猫は豚肉を食べても大丈夫です。
脂身を取り除いた赤肉は低カロリーかつ、たんぱく質やビタミンB群を豊富に含んでいるので、体づくりや疲労回復効果に期待できます。
注意点を4つ紹介します。
- 食中毒の可能性があるので、生食は絶対にNGです。
- 脂質過剰となることがあるので、脂身はなるべく与えないようにしましょう。
- 腎臓病などなんらかの病気を患っている犬猫には慎重に与えてください。
- 初めて豚肉を食べさせる時は食物アレルギーに気を付けましょう。
私たちにとても身近で、美味しい豚肉。
その匂いや味を好む犬猫も多いので、愛犬愛猫の食事作りにぜひ取り入れてみてください。