犬猫にそら豆を与えても大丈夫。
大きくて食べ応えもあり、豆の甘みとほくほくとした食感がたまらないそら豆は、代表的な夏野菜のひとつです。
大豆と同じ植物性たんぱく質を含むほか、ビタミンやミネラルがバランスよく含まれていて、人用に味付けしたものでなければ、犬猫が食べても大丈夫な食材です。
生で食べても大丈夫?
そら豆は生でも毒性があるわけではありませんが、生のそら豆は消化に悪いので必ず加熱したものを与えるようにしましょう。
特に猫や小型犬の場合は加熱後に細かく刻んだり潰してあげると食べやすくなります。
そら豆を与えるメリット
豊富なたんぱく質で健康な体づくり
そら豆に多く含まれるたんぱく質は、犬猫の筋肉や骨、皮膚や被毛、内臓、血液と、健康な体を作るのに欠かせない栄養素です。
アミノ酸の含有量は肉などの動物性たんぱく質に比べ半分以下と少ないですが、犬猫に必要なアミノ酸10種も含まれています。
たんぱく質が不足すると子犬猫では成長に支障が及び、成犬猫では免疫力も下がったりと健康な体を維持できなくなってしまいます。
このため植物性たんぱく質を豊富に含むそら豆は、犬猫にとって有益な食材といえます。
ミネラルも豊富!
そら豆には鉄や銅・カリウム・マンガンなど、ミネラル類も豊富に含まれていて、これらのミネラルは肉類より含有量が多いのも特徴のひとつです。
鉄
全身の隅々まで酸素を運ぶ働きや、細胞をサビ付かせる余剰活性酸素を除去する抗酸化作用があります。
ただしそら豆の鉄は植物由来の非ヘム鉄で、肉類のヘム鉄よりも吸収率は低いので肉類も併せて摂った方が良いでしょう。
総合栄養食のペットフードを食べている犬猫は鉄が不足することはあまりありませんが、万が一鉄が欠乏した場合、貧血や下痢、被毛がパサつくなどの症状が出る場合があります。
手作り食のみを与える場合は不足しないように気をつけましょう。
銅
骨の形成を助けたり、ヘモグロビンを作るために必要な鉄を運ぶ働きをしてくれるため貧血防止、疲労回復や冷えの改善などが期待できます。
銅は酸素の量を増やす働きをするため、消化をサポートしたり新陳代謝を活発にしたりしてくれます。
欠乏すると、被毛のパサつきや貧血のリスクがあります。
その他
ナトリウムと関与して水分調整や塩分調整を行うカリウムや、糖質、脂質、タンパク質の代謝や、骨の発育に欠かせない構成成分であるマンガンなども含まれています。
そら豆の主な栄養素
植物性たんぱく質
そら豆には豊富な植物性たんぱく質が含まれています。
植物性たんぱく質は動物性たんぱく質と比較すると必須アミノ酸の含有量は少ないですが、動物性の食品と比較して脂質、エネルギー量が抑えられます。
油脂を控えた上でたんぱく質を摂取できるのでダイエット時の強い味方です。
食物繊維
そら豆には不溶性食物繊維が多く含まれています。
食物繊維は食後の血糖上昇をゆるやかにして糖尿病を予防したり、腸内細菌のエサとなって腸内環境を改善しすることで便通を促し、腸内の不要なものを排出する効果もあります。
ビタミンB1、B2
そら豆にはビタミンB1、ビタミンB2が多く含まれています。
ビタミンB1は疲労回復効果が期待でき、脳と神経を正常に保つ働きもしています。
ビタミンB2は脂質をエネルギーに変えて、皮膚、粘膜、被毛、爪、赤血球の産生や、免疫力の向上が期待できます。
ビタミンC
強い抗酸化作用が期待できる栄養素です。
また、免疫力アップやコラーゲンの生成のサポート、メラニン色素の過剰生成を抑制するなどの効果もあります。
犬猫は体内でビタミンCを合成することができるので必要以上に摂取する必要はないといわれてきましたが、実際は体調や年齢によって合成能力が衰えることもあり、合成はできてもビタミンCはストレスなどによっても消費してしまうのです。
このため近年では犬猫もビタミンCを食事から摂取するのは健康維持に効果的といわれています。
カルシウム
体を支える骨格の強化に活躍する働きがあり、骨や歯の構成に必要不可欠な栄養素です。
ほかにも筋肉が正常に収縮するのを保つ・神経を安定させる・血液を固めて止血する・ホルモンを分泌させる・細胞分裂を促す・胃液の分泌を調整する・鉄の代謝を補助するなど、実に多様な働きをします。
与える際の注意点
生の豆や硬いさやはNG!薄皮も剥いてあげましょう
生のそら豆は消化に悪く消化不良を引き起こし、下痢などの原因になる事もあります。
加熱することで消化吸収がしやすい状態になりますので、茹で、蒸し、焼き等必ず加熱をしてから与えるようにしてください。
外側の硬い鞘(さや)も消化にわるいので、誤食を防ぐために捨てる際には犬猫の口や手が届かない場所へ処分してあげてください。
薄皮は食べても大丈夫ですが消化不良の心配もありますので、加熱した後のそら豆はなるべく薄皮までむいて実を取り出して刻んでから与えると良いでしょう。
丸のみによってのどに詰まらせる危険性も避けられますよ。
茹でる時は塩を使わないこと
人用に茹でる際には塩茹でがスタンダードですが、犬猫に与える場合には塩を入れて茹でないようにしてください。
腎臓猫の犬猫はリンの過剰摂取に注意
そら豆にはリンが多く含まれます。
リンの過剰摂取は腎臓に負担がかかりますので腎臓病の犬猫には与えることを控えるか、与える量には十分に注意してください。
ファビズムに注意?アレルギーにも気をつけて
多くの栄養成分を含むそら豆ですが、人が大量に食べると『ファビズム』という食中毒を発症することがあるという報告があります。
症状は発熱、黄疸、重症化すると死亡するケースも。
日本では発症例は少なく、犬猫での症例は確認されていませんが注意するに越したことはありません。
人においては10~20粒程度が適量といわれていますので、人より体のちいさい犬猫に対してそれ以上与えることはおすすめしません。
おやつ程度に1、2粒を与える程度にとどめておきましょう。
また、初めて与える際には必ず少量から始めましょう。
どのような食材でもアレルギーを引き起こす可能性は少なからずあります。
食後の様子をしっかりと見て、下痢や嘔吐などの症状がみられた場合にはかかりつけの動物病院へ相談をし、獣医師の指示に従いましょう。
参考:Glucose-6-phosphate dehydrogenase deficiency
おすすめレシピ
そら豆の丸焼き
外側の硬い鞘ごとそのままフライパンや魚焼きグリルでさやが黒くなるまでこんがりと焼いて完成です。
鞘ごと焼くことで蒸し焼き状態になり、ふっくら甘くほくほくに仕上がります。
焼きたては熱いので少し冷ましてから外側の鞘を剥き、中の実を取り出して刻んで与えられます。
人用には剥いた実に塩をつけて食べればビールのお供に最適です。
そら豆と鮭のポタージュスープ
生鮭を焼いてほぐしておきます。
茹でて柔らかくしたそら豆とじゃがいもを無調整豆乳と水を加えてミキサーにかけ、器に盛りほぐした焼鮭をトッピングして完成です。
塩鮭は塩分が多すぎて犬猫には与えられないので生鮭を使用してください。
空豆はミキサーにかけるので薄皮ごと入れて大丈夫です。
食物繊維が豊富なスープで腸内環境改善に役立ちます。