犬猫に醤油を与えないで
醤油は大豆・小麦・塩を基本原料とし、発酵・熟成や火入れなどの加工を経て作られます。
食べ物に直接つける・調理中の味付けなど様々場面で醤油が使われるので、日本人に最も身近な調味料のひとつと言っても過言ではないかも知れません。
ですが、ほとんどの方がご存知の通り犬猫に醤油を与えてはいけません。
今回は以下の内容についてお話していきます。
- 犬猫に醤油を与えてはいけない理由
- たくさん口にしてしまったときの対処法
- 醤油や調味料以外の味・風味付け方法
犬猫が少し舐めてしまった!大丈夫?
醤油をかけた際に飛んでしまったしぶきなど、ごく少量でしたら大丈夫です。
しかし、お皿から直接舐めたなど少し多く口にしてしまった場合は注意が必要です。
危険な量や対処方法などはこの後くわしくお話しします。
犬猫に醤油を与えてはいけない理由
醤油に含まれる塩分量一覧
醤油の種類 | 食塩相当量 |
---|---|
こいくちしょうゆ | 14.5g |
こいくちしょうゆ減塩 | 8.3g |
うすくちしょうゆ | 16.0g |
うすくちしょうゆ低塩 | 12.8g |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
塩分過多
少量の塩分は犬猫にも必要なものですが、醤油は加工の工程で塩分含有量がかなり高くなっており犬猫には適していません。
一般的な濃い口醤油は100gあたり14.5gの塩分が含まれていて、小さじ1杯分の約6gだとしても約0.9g塩分があります。
犬猫の塩分摂取量目安は、
- 1日の摂取量:体重5kgの犬で0.18g、猫は0.33g
- 中毒症状が現れる量:犬猫ともに体重1kgあたり2~3g前後
- 摂取による致死量:犬猫ともに体重1kgあたり4g前後
と考えられていますので、醤油の塩分量の高さがお分かりいただけるかと思います。
あくまで目安ですので、体質や状況によりその量は増減します。
身体が小さい犬猫ほど摂取出来る塩分量が下がる傾向にあるので、塩分による危険もより高くなります。
また、こうした影響をより受けてしまう子どもやシニアの犬猫、腎臓や心臓が弱っている犬猫には特に注意が必要です。
薄口醤油、減塩・低塩醤油も塩分が多いので気を付けて
薄口醤油は塩分が低いイメージがありますが、濃い口醤油より塩分が多く含まれています。
減塩・低塩醤油はその名の通り塩分が減っていますが、それでも犬猫が口にするには塩分が多すぎるのでやはり与えるべきではありません。
過剰に塩分を摂取した際に考えられる代表的な症状
適量であれば塩分は犬猫に必要なものですが、過剰に塩分を摂取してしまった場合様々な悪影響が考えられます。
可能性のあるものを一部お話していきます。
食塩中毒
食塩中毒は塩分を過剰に摂取することで引き起こされることがある中毒です。
心臓や腎臓へ負担を掛けるほか、
- 下痢や嘔吐
- 食欲低下
- 水を大量に飲む
- ふらつき
- 発作
などの症状を引き起こします。症状は数十分から数時間以内に現れる傾向にあります。
重症になると命に関わる場合も。
高血圧
塩分を過剰に摂取すると、体内の塩分濃度を下げるために多くの水分を身体に蓄える必要が出てきます。
体内の塩分が多くなると犬猫は自然と水を欲するようになります。
一時的に水を飲むことは普通ですが、慢性的に水分をたくさん取ると血圧が上昇し高血圧となってしまう可能性があります。
腎不全
食塩中毒や高血圧になると腎臓へ大きな負担がかかり腎不全のリスクが高まります。
腎不全になると
- 食欲不振
- 下痢・嘔吐
- 尿量の減少
などの症状が現れてしまいます。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
心臓病
食塩中毒や高血圧は全身に血液を送り出す役割を担っている心臓にも大きな負担をかけます。
負担がかかり続けると心不全を引き起こし、心臓の機能が低下。以下のような症状が現れます。
- 咳や呼吸の乱れ
- 疲れやすくなる
- 食欲不振
愛犬・愛猫が醤油をたくさん口にしてしまったときは
新鮮な水を飲ませる
水を飲ませることで体内の塩分を薄め、尿による体外への排出を促します。
このとき無理に水を飲ませることが無いようにしましょう。
水を飲ませたからといって全てが解決する訳ではありません。動物病院への連絡も合わせて行いましょう。
病院へ連絡をする
醤油の誤食が分かった際は、症状のある無しに関わらずすぐに動物病院へ連絡を取り指示を仰ぎましょう。
症状が既に現れている際はもちろん危険ですが、元気そうにしている時でも時間をおいて症状が現れることがあります。
この際、どういった醤油をどの程度口にしてしまったのか、犬猫はどのような様子なのかということを把握していると診察がスムーズになります。
自己判断で吐かせるといった処置をしない
一部で「こういった誤食の際は塩やオキシドールを使い吐かせて応急処置をしましょう」という話を見かけますが、飼い主さんが安全に犬猫を吐かせることは難しいです。
自己判断で行わず、必ず医師からの指示に従うようにしましょう。
醤油以外で犬猫の手作りごはんに味付けや風味付けする方法
醤油をはじめほとんどの調味料は身体への悪影響が考えられるので犬猫の食事には適していません。
ですが、愛犬愛猫のごはんへの食いつきをよくするためになにか味付けをしたいというケースもあるかと思います。
そういった時の代用方法を紹介します。
食材で味付け・風味付けをする
犬猫のごはんへの味付け・風味付けは基本的に食材そのものの味や匂いで行うことをオススメします。
例えば、
- 犬猫の好むお肉やお魚を細かく調理したものや、鰹節などをトッピングしてあげる
- 昆布や鰹節などから取った味と風味の付いた出汁をフードにかけたり、出汁で食材を煮込んで香り付けをする
などの方法が考えられます。
ペットフードへのトッピングはこちらの記事で解説しています。
一緒に食べる可能性のある食材や醤油を使用した食品
ここで食べても大丈夫だと紹介した食材・食品も、口にした量や犬猫の体質によっては危険な時もありますので注意してください。
醤油と一緒に口にする可能性のあるもの
大根おろし:犬猫が食べても大丈夫な食材です。辛味には注意が必要です。
わさび:少量で重い症状になるケースは少ないと考えられますが、刺激が強いので与えない方がいい食材です。
刺身:寄生虫アニサキスなどのリスクがあります。
ラー油:ごま油に辛味をつけた唐辛子の香味油です。犬猫には刺激が強く注意が必要です。
餃子:ニラやにんにく、ネギなどの犬猫にとって危険な香味野菜が使われています。絶対に食べさせないように。
醤油が使われている食品
醤油せんべい:少量であれば食べても大丈夫な食材ですが、醤油や砂糖で味付けされているの本来食べさせるべきではありません。
餅・団子など:少量であれば大丈夫ですが、喉に詰まらせる可能性があるので注意が必要です。
ラーメンのスープなど:醤油以外にネギやにんにくなど犬猫にとって危険な食材が使われていることが多いので注意が必要です。
【まとめ】
犬猫に醤油を与えてはいけません。塩分が大量に含まれています。
濃い口醤油・薄口醤油、減塩・低塩醤油ともに犬猫が口にするには塩分量が多すぎます。
塩分を過剰に摂取すると、
- 食塩中毒
- 高血圧
- 腎不全・心不全
などの病気を患ったり症状が出てしまう可能性があります。
誤って醤油を舐めてしまった場合は新鮮な水を与え、すぐに動物病院へ連絡を。
愛犬愛猫の食事に味付けや風味付けをしたいときは、食材そのものの味や匂いで行うようにしましょう。