冬が終わり暖かくなってくると市場に出回るのが春の山菜「たらの芽」。
山菜の中でも比較的ポピュラーで苦味やえぐみが少なく天ぷらやおひたしなどでおいしく食べることができます。
そんなたらの芽は犬猫が食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫はたらの芽を食べても大丈夫!
犬や猫はたらの芽を食べても大丈夫です。
たらの芽には犬猫にとっても嬉しい栄養素が含まれていますが与える際には注意すべき点があります。
今回はたらの芽に含まれている栄養素や与え方のポイントについて解説していきたいと思います。
たらの芽とは?
たらの芽は「タラノキ」という低木の新芽のことで日本全国に自生しています。
タラノキにも種類があり、たらの芽が採れるものは「オンダラ」と「メダラ」という2種類あります。
オンダラには幹に固いトゲがあるのが特徴で、オンダラのたらの芽には赤い点々があります。オンダラは天然物のたらの芽に多い種類です。
それに対してメダラにはトゲがなく栽培しやすいためハウス栽培されているたらの芽の多くはメダラになります。
そんなたらの芽はほどよい苦味やもっちりした食感が人気で山菜の王様とも言われています。
与える際は加熱処理をしよう
犬猫にたらの芽を与える際は必ず加熱処理をしましょう。
たらの芽は他の山菜に比べて苦味やアクが少ないとはいえ生のままだと少しクセを感じます。
茹でることによってアクの正体である「シュウ酸」がお湯に流れ出るため苦味が減り食べやすくなります。
犬猫がシュウ酸を摂取することによってシュウ酸カルシウム結石の原因となる恐れもあるため、たらの芽を茹でると美味しくなり結石のリスクも減らせて一石二鳥です。
また、犬猫は生の植物の消化が苦手なため消化不良を起こさないためにも加熱調理することをおすすめします。
たらの芽に含まれる代表的な栄養素
たらのめ 若芽 生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 27kcal |
たんぱく質 | 4.2g |
食物繊維総量 | 4.2g |
カリウム | 460mg |
マグネシウム | 33mg |
葉酸 | 160㎍ |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
カリウム
カリウムは様々な食べ物に含まれている生き物が生きていく上で欠かせないミネラルの一種です。
細胞機能・神経伝達・エネルギー代謝などに関わっており過剰も欠乏も病気の原因になるのでバランス良く摂取することが大切です。
高カリウム血症
通常、カリウムを過剰に摂取したとしても腎臓の働きによって尿と一緒に体外へ排出されます。
しかし尿路閉塞や腎不全などになって尿がうまく出せなくなってしまった犬猫は注意が必要です。
尿によりカリウムの排出が出来なくなると血液中のカリウム濃度が上がっていき「高カリウム血症」になる可能性があります。
高カリウム血症の症状には消化器症状・神経症状・不整脈などがあり、最悪の場合不整脈から心肺停止につながる可能性もあるので注意しましょう。
低カリウム血症
多くのペットフードにはカリウムが必要量含まれていることから犬猫がカリウム不足になることは稀です。
しかし、偏食・下痢・嘔吐・食欲不振などの症状が続いている場合にはカリウムをはじめとする栄養失調に注意しましょう。
カリウムが著しく不足すると「低カリウム血症」になり、筋力低下や歩行不全などの症状が現れる可能性があります。
犬猫の様子は普段からよく観察しよう
犬猫は人間のように自分は体調が悪いと言うことができないため飼い主様が気づいてあげる必要があります。
特に高カリウム血症を引き起こす腎臓病は一度患ってしまうと一生付き合わないといけない病気なので少しでも異変がある場合はなるべく早く治療することが肝心です。
愛犬愛猫に
- トイレの回数が増えた
- トイレに行ってもおしっこが出ていない
- ご飯を食べない
などの症状が見られる場合は早めに獣医師に相談しましょう。
マグネシウム
マグネシウムは骨や歯を構成する成分である他に神経伝達や筋肉の収縮などにも関わっているとても重要なミネラルです。
マグネシウムが不足すると「マグネシウム欠乏症」になる可能性があり、食欲不振・体重低下・運動失調などの症状が現れます。
その他にもシュウ酸カルシウム結石になりやすくなるといわれているため注意しましょう。
葉酸
葉酸とは別名ビタミンB9と呼ばれる水溶性ビタミンの一種です。
DNAの合成に関与しており、妊娠期の犬猫は胎児の形成に大量の葉酸を消費するため十分量摂取しないと葉酸欠乏症になる恐れがあります。
妊娠中の母体で葉酸が欠乏すると胎児形成異常による口唇裂や口蓋裂など奇形の要因となる可能性があります。
犬や猫へのたらの芽の与え方
下処理
たらの芽には「ハカマ」と呼ばれる赤黒っぽい皮のようなものが付いていますが固いので取り除いてあげましょう。
また、天然物には虫がついていることもあるのでよく洗っておくと良いでしょう。
茹でて調理しよう
たらの芽を美味しく食べる方法といえばやはり天ぷらですが、天ぷらは犬猫にとっては脂質過多になってしまうのでやめておいた方がいいでしょう。
前述したとおり茹でて調理するのがおすすめです。
沸騰したお湯で3分ほど茹でたあとに冷水に浸してあく抜きをしましょう。
茹でたあとのたらの芽は柔らかくなっていますがそのままではなく細かく刻んであげた方が消化に良くなるのでおすすめです。
刻んだものを普段与えているフードのトッピングや手作りご飯に活用してみてください。
初めて与えるときは少量にしよう
どんな食べ物にもアレルギーの可能性はあり、犬猫によってはたらの芽にアレルギー反応を示すこともあるでしょう。
なので初めてたらの芽を与える場合は少量にして反応を見ましょう。
皮膚の赤み・かゆみ・下痢・嘔吐などのアレルギー症状が見られた場合はそれ以上与えるのをやめましょう。
【まとめ】犬猫はたらの芽を食べても大丈夫
犬猫はたらの芽を食べても大丈夫です。注意点をおさらいしましょう。
- 山菜には犬猫が食べてはいけないものが多いがたらの芽は食べても大丈夫
- 与えるときは茹でると柔らかくなると同時にあく抜きも出来るのでおすすめ
- 刻んでから与えると消化に良くなる
今回は犬や猫に与えるたらの芽について紹介しました。
たらの芽は一年で食べることの出来る期間が決まっているので正しく下処理・調理をして犬や猫と一緒に楽しみましょう。