犬猫にゆりねは食べさせないで!急性腎不全を引き起こす?強い毒性に注意

犬猫にゆりねは食べさせないで!

お正月のおせち料理などに使われることが多いゆりねは、犬猫が食べてはいけない食材のひとつです。

植物の中には犬や猫に有毒な成分を持つものがたくさんあり、有毒な部分は花や葉、根、種子など植物によって様々です。

ユリ科の植物は犬猫が中毒症状を引き起こす有毒な植物ですが、その球根であるゆりねも犬猫が食べると危険な食材です。

今回はゆりねやユリ科の植物について解説していきます。

ゆりねとは

ゆりねはおせち料理などお祝い料理や中華料理で使われ、日常的に食卓に並ぶというよりは少し特別なイメージの食材です。

それはゆりねの流通や栽培の特徴によるものかもしれません。

ゆりねは食用として扱えるオニユリ、コオニユリ、ヤマユリといった品種のユリの球根部分で、いくつかのうろこ状の一片が重なった形をしています。

この球根部分が食用として収穫されるのですが、ゆりねを種球から栽培すると、食べられるようになるまでに6年ほどの時間がかかり、畑の栄養分もたくさん吸収して育ちます。

たくさんの養分を吸収して育つゆりねは、人間にとっては古くから滋養強壮の漢方薬として用いられるほど高栄養であることが知られています。

犬猫にとって危険なユリ科の植物

ゆりねはユリ科ユリ属植物の球根です。

ゆりねだけではなく、ユリ科の植物は犬猫にとって危険な植物であるため注意が必要です。

犬猫に毒性を示すユリ科の植物
  • イヌサフラン
  • タチアオイ(エンレイソウ)
  • オニユリ
  • オモト
  • コバイケイソウ
  • シュロソウ
  • ツクバネソウ(ツチハリ、ノハリ、四葉玉孫)
  • チューリップ
  • バイケイソウ(ハクリロ)
  • ヒヤシンス

種類によって有毒部分と毒性の強さは様々ですが、動物にとってはどれも危険です。

特に球根には注意が必要とされていますので、ゆりねは犬猫に食べさせないように気をつけましょう。

上記で挙げた中には日常的に見かけないものがありますが、チューリップやヒヤシンスは観賞用に自宅で栽培されることが多いことや、タチアオイは日本各地で夏季に道端に咲いているのをよく見かける植物です。

ゆりねのような食材だけではなく、ユリ科の植物に関しては自宅の庭や花瓶、犬の場合は散歩コースに生えているものに対しても、犬猫が誤って齧ってしまわないように注意しましょう。

ゆりねの摂取で起こす中毒症状

犬猫がゆりねを食べてしまった場合に起こりうる中毒症状は下記の通りです。

  • 嘔吐
  • 多量のよだれを出す
  • 下痢
  • 沈うつ
  • 腎不全
  • 呼吸困難
  • 手足のしびれ
  • 痙攣
  • 尿があまり出なくなる
  • 循環不全

この中でも腎不全が起こると死亡率が高まると言われています。

症状は食べてしまった量や個体によって違いがあるので、ゆりねを食べた全ての犬猫が必ず腎不全を引き起こすとは限りませんが、可能性は高く、最悪なケースでは死に至る場合もあるので決して軽視はできない食物です。

ゆりねを食べてしまったら

ユリ科の植物は特に球根部分に強い毒性があるとされているので、オニユリ等の球根であるゆりねはごく少量であっても犬猫にとって大変危険な食材と考えられます。

ゆりね摂取後の初期症状として起こりやすい嘔吐や下痢などの消化器系の症状が落ち着いてしまうと、一時的なものかと処置をせず自宅で様子を見てしまう事もあるかもしれません。

しかし、ユリ科植物の中毒の怖いのは、摂取後それほどの時間を要さずに急性腎不全へ進行してしまうことや、腎不全に陥れば死亡率が非常に高まるところにあります。

3歳,去勢オスのロシアンブルー猫が,前日からの元気消失を主訴に来院した.
前日に1回のみ黄緑色の液体を幅吐したとのことであった.
~中略~
血液検査の結果,重度の高窒素血症が認められた
急性腎不全として輸液療法を開始したが,12時間以内に尿の生成は認められなか った
このため,ドパミンとフロセミドによる利尿を開始したが 12時間が経過しても効果は認めら れなかった.
マンニト ールによる利尿を追加したが,尿の生成は認められなかった
この時点で,飼主より 症例が数日前にユリの花と葉を食べていたという稟告が得られ,ユリ中毒と判明した.
同日,腹膜透析を行ったが,翌朝に死の転帰をとった.左右腎臓の病理組織検査においては,急性の尿細管接死が認められた.

参考:ユリ中毒により急性腎不全を呈した猫の1例

上記はユリ中毒の1例ですが、1回の嘔吐、元気消沈で翌日来院したが、治療を行っても回復には至らなかったという報告があります。

ユリ科植物の中毒は、摂取した後に治療を行わなければ3日から5日で死亡するとの報告があるほどです。

ゆりねやユリ科の植物を食べてしまった、舐めてしまったなどが分かった場合は症状の有無に関わらず早急に動物病院を受診しましょう。

いつ異変が起きても対応できるように夜間救急を受け付けている動物病院を事前にチェックしておくことも大切です。

飼い主ができる予防

上記ではゆりねが犬猫にとって非常に危険な毒性がある食材であることを解説しました。

ゆりね料理を食卓に並べるとき、調理をするとき、調理後、食後、調理器具や盛り付けした器などの取り扱いに十分に注意が必要です。

調理する際には、ゆりねを保管していたおがくずなども決して放置はしないように、また切り落とした部分も犬猫が触れないように放置せずすぐにゴミ箱等に処分しましょう。

調理器具もですが、調理後の手もしっかりと洗うこと、衣服にかけらなど付着していないか確認してから犬猫とスキンシップをするようにしてください。

おせちに使われることが多いゆりねですが、おせちにはゆりねだけではなく魚介類や肉、栗きんとんなど犬猫が興味をもつ食材も一緒に並びます。

人間の食事に犬猫の手が出ないようにしっかり見てあげる事も飼い主ができる予防になります。

まとめ

犬猫にゆりねは食べさせないで!

ゆりねは主に日本や中国でよく使われる食材で、正月のおせち料理で使われることで知られています。

この人間にとって健康効果が期待されるゆりねですが、犬猫は食べてはいけない食材のひとつです。

犬猫に対して強い毒性を持ち、摂取後数時間で中毒症状や急性腎不全を引き起こし、死に至るケースも多数報告されています。

ゆりねだけではなく、同じユリ科の植物も同様の有毒性を示すため、家庭での取り扱いには十分に注意が必要です。

犬猫の手が届く場所にゆりねを置かない事、万が一少量でも口にしたことが分かった場合や、中毒症状と疑われる異常がみられれば、できる限り速やかに動物病院へ連れて行くことが大切です。

スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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