蜜蝋(みつろう)は犬猫が舐めても大丈夫?犬猫のケア用品にも使用される天然由来の保湿剤

蜜蝋(みつろう)とは

ミツバチの巣からハチミツを採った後に残る巣を、熱や圧力を加えてるなどして採取されるのが「蜜蝋(みつろう)」です。

蜜蝋は他にもビーズワックス(Beeswax)や蜂蝋(はちろう)とも呼ばれます。

肌に優しい天然由来の保湿剤として広く知られており、人間の化粧品はもちろん、犬や猫の肉球ケアクリームなどスキンケア商品も多く販売されていますが、この蜜蝋は、犬猫が舐めて大丈夫なのでしょうか。

蜜蝋(みつろう)は犬猫が舐めても大丈夫?

蜜蝋の中には犬や猫が中毒を起こすような成分は含まれてないため、少量であれば犬猫が舐めても大丈夫と言えます。

ただし、腸内環境が未成熟な子犬や子猫、また抵抗力が低くなっている老齢期の犬猫には注意が必要です。

ボツリヌス菌に注意

人間では乳児ボツリヌス症にかかる事があるとして、1歳未満の赤ちゃんにはハチミツを与えないように注意喚起がされています。

蜜蝋はハチミツを採取しミツバチの巣から採られるため、ボツリヌス菌が含まれる可能性はゼロではありません。

犬猫においてボツリヌス症の報告はあまり多くはありませんが、子犬や子猫、老齢期の犬猫も発症する懸念は少なからずあるため注意は必要です。

ボツリヌス菌は120℃4分間以上の加熱によって死滅するので、製造方法によってはボツリヌス菌の心配がない商品もあります。

通常、ボツリヌス菌は腸内環境が整っている人や動物では感染することはないといわれていますが、犬猫の年齢や体調に合わせて使用の判断をするといいでしょう。

蜜蝋(みつろう)に期待される効能

蜜蝋はロウソクや食品包装材など様々な用途に使用されていますが、とくにスキンケア用品の人気が高く、効果が期待されています。

皮膚からの水分損失を最小限に抑え、水分を閉じ込める保湿剤、皮膚を柔らかくする皮膚軟化剤としての効果の他、プロポリスを多く含む蜜蝋は、抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用を発揮します。

皮膚バリアが破壊されると皮膚乾燥症やアトピー性皮膚炎、乾癬などの様々な皮膚疾患を引き起こすことがありますが、蜜蝋を使用したスキンケア用品を使用することで保湿や皮膚を柔らかく保つことができるでしょう。

犬猫に蜜蝋(みつろう)使う際の注意点

人間用の化粧品には注意が必要!

蜜蝋を配合した人間用の化粧品は非常に多く、その中にはより心地よく使用できるように、香料など他の原材料を加えて作られているものもあります。

犬猫の場合、蜜蝋以外の成分、特に香料の種類によっては命の危険も考えられるような重篤な症状を起こしてしまう可能性ががあります。

犬猫の肉球やスキンケアに蜜蝋を使用したい場合には、犬猫専用の製品や、犬猫が中毒を起こすような成分が入っていない製品を選び、使用や保管には十分に注意するようにしましょう。

蜜蝋(みつろう)を積極的に舐めさせるのはNG!

蜜蝋は基本的に犬や猫にとって無毒であると考えられますが、多量に摂取してしまうと胃腸トラブルを起こすことがあります。

蜜蝋の主な成分は油脂の一種であるワックスエステルです。

このワックスエステルを多量に摂取してしまうと、下痢や腹痛、吐き気、皮脂漏症などの症状を示します

また、蜜蝋を使用したスキンケア用品には原材料にみつろう以外の油脂成分も使用していることが多くあります。

油脂成分の多量摂取はワックスエステルでなくても吐き気や下痢の原因となります。

犬猫の肉球や皮膚に塗った蜜蝋を少量舐める程度であれば大きな問題はないと思いますが、蜜蝋の保管、管理には注意しましょう。

アレルギーに注意

まれではありますが、蜜蝋にアレルギーを示す場合があり、その原因は蜜蝋に含まれる花粉や不純物、プロポリスなどによるものなどといわれています。

初めて使用する際にはごく少量からはじめ、まずは皮膚に異常が出ないか確認をするようにしましょう

また、ハチミツのアレルギーを持つ場合には蜜蝋でもアレルギーを起こす可能性があるため、使用は控えた方がいいでしょう。

まとめ

蜜蝋は犬や猫にも使える天然由来の保湿剤で、犬猫が少量舐めてしまった場合も大きな危険はないと言えます。

皮膚の乾燥を防ぎ、柔らかさを保ってくれるので、人はもちろん、犬猫のスキンケアにも大変有効です。

蜜蝋を犬猫のスキンケアに取り入れたい場合には、犬猫が中毒を起こすような成分を使用していない製品を選び、アレルギーや、大量の誤食による胃腸トラブルには十分気をつけましょう。

参考:その抗菌作用と医療への応用についてのミニレビュー

参考:スキンケアにおける蜜蝋の使用に関するレビュー

参考:プロポリスによるアレルギー性接触皮膚炎

スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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