犬猫が起こす中毒の中には、「カエル中毒」や「ヒキガエル中毒」と呼ばれるカエルが原因となる中毒があります。
都会でなかなかカエルは見かけませんが、自然の多い場所だとよく見かけます。
今回は犬猫がカエルを誤飲した際の危険性やカエル中毒の症状などについてご紹介したいと思います。
カエル中毒とは
ヒキガエル・アマガエル・アカハライモリなどは体から猛毒成分をもつ分泌物を出します。
分泌液に含まれる毒性のある成分をご紹介します。
ブフォトキシン・ブーファキン・ブフォテニン
ブフォトキシンやブーファキンといった成分には血管内凝固作用や心毒性があります。
ブフォテニンはセロトニン受容体に影響を与え、中枢神経・呼吸器系・心臓など体内の様々な部位に作用します。
これらの成分を摂取すると以下のような症状を引き起こす可能性があります。
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- 嘔吐
- 下痢
- けいれん
- 呼吸困難
- 体温上昇
- 不整脈
- 中枢神経異常
- 昏睡
これらの成分を含んだ分泌液はカエルが危険を感じた際に、耳の部分にある「耳下腺」から分泌されます。
そのため飲み込んでいなくても、噛んだりくわえたりしただけで中毒症状を引き起こす可能性があるので注意しましょう。
寄生虫の危険性も
カエルのお腹に寄生する寄生虫に「マンソン裂頭条虫(まんそんれっとうじょうちゅう)」という虫がいます。
マンソン裂頭条虫はきしめんのような見た目をしている白く細長い寄生虫で、犬・猫・キツネ・たぬきなどを終宿主としています。
症状
マンソン裂頭条虫が寄生することによる症状はほとんど無いと言われています。
多数寄生すると下痢・嘔吐・食欲不振などの症状は現れますが、痛みなどはほとんどありません。
犬猫の肛門から寄生虫の本体やちぎれた体が出ていることで気付くことがほとんどのようです。
対策
基本的に中間宿主であるカエル・ヘビ・鳥類・ネズミなどを捕食しない限り寄生の心配はないようです。
そのため完全室内飼いの犬猫は、散歩中の誤飲や外に出て行ってしまったりしない限りほとんど寄生しません。
野良猫や捨て猫を迎え入れる場合は、既に感染している場合があるので必ず動物病院で検査を受けましょう。
人間に対しての影響
カエル中毒は人間も発症する可能性のある症状ですが、触れるだけでは基本的に発症する心配はありません。
しかし、アマガエルやヒキガエルを触った手で目を擦ったりすると、最悪の場合失明の恐れもあるようなので注意しましょう。
過去にはヒキガエルを食べた中国の子供が死亡したという事件もあります。
また、マンソン裂頭条虫は人間にも寄生する可能性のある寄生虫です。
過去に40代と50代の男性がシマヘビを刺身で食べ、数日後に発熱や倦怠感に襲われたので検査したところマンソン裂頭条虫に寄生されていたという症例もあります。
ただし、マンソン裂頭条虫の症例は非常に稀で、宿主である生き物を生食しない限りは寄生の心配はほとんどないのでご安心ください。
カエルの誤飲を防ぐために
犬猫のカエルの誤飲を防ぐために日常的に行えることをご紹介します。
夏場の水辺や草むらに注意
冬場は土の中で冬眠しているカエルは、夏場になると捕食と繁殖のために地上に出てきます。
夏場は水辺や草むらに潜んでいることが多く、犬の散歩中に草むらに入ると接触する可能性もあります。
ぴょんぴょん跳ねるカエルに興味を持つ可能性は低くないので、勢いでくわえたりしないように注意しましょう。
爬虫類を飼育している場合
中には犬猫を飼いながら爬虫類を飼育している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
基本的に犬猫と爬虫類を同居させる場合は、別々の部屋で管理するのが良いとされています。
本記事ではアマガエルやヒキガエルなど、日常で出会う可能性のあるカエルのみご紹介しました。
しかし、世の中には「ヤドクガエル」などの更に強い毒性を持つカエルもいるため、毒性の強いカエルを飼育している場合は十分注意しましょう。
ちなみに「モウドクフキヤガエル」というカエルは地球上で最強の猛毒を持つと言われています。
ただし、カエルの毒性は餌によって変わるため飼育下のカエルはほとんど無毒のことが多いようです。
誤飲してしまった際の対処法
万が一、犬猫がカエルを噛んだりくわえたりしてしまったらすぐに口を綺麗な水で洗ってあげましょう。
その後動物病院へ行き、どのような状況でカエルを噛んでしまったのか説明しましょう。
また、もしも飲み込んだ場合は有無を言わさず動物病院へ行きましょう。
素早く対処すると催吐処置や胃洗浄などによって症状が軽く済む可能性が高くなります。
【まとめ】カエルの誤飲は危険!
犬猫はカエルを誤飲するだけでなく噛んだりくわえたりするだけでも危険です。
今回紹介したポイントをおさらいしましょう。
- アマガエルやヒキガエルなどの身近なカエルも毒を持っている
- カエルの毒を摂取すると下痢・嘔吐・けいれん・不整脈等を発症し最悪の場合死に至る可能性もある
- マンソン裂頭条虫という白い紐状の寄生虫に寄生される恐れもある
今回はカエルを誤飲する危険性についてご紹介しました。
夏場に自然の多い場所で犬を遊ばせていると知らず知らずのうちに誤飲している可能性もあります。
寄生虫などの心配がないように定期的に動物病院で検査を受けるのがおすすめです。