針や画鋲のようなものはご家庭によくあるもので、犬猫が誤食する危険性のあるものです。
口に収まりやすいサイズで、口内に刺さってしまうだけでなく胃や消化管を傷つける危険性もあります。
今回は犬猫が針や画鋲を誤飲してしまった場合の危険性や、誤飲した際の対処法についてご紹介します。
誤飲の危険性
犬猫が針や画鋲を誤飲してしまった際に起こり得る可能性についてご紹介します。
口内に刺さる
縫い針を口にした際にまず起こり得るのが、口内に刺さってしまう事故です。
いくつか動物病院が報告されている症例を見ましたが、上顎に刺さってしまったり舌を貫通してしまったり刺さり方は様々でした。
中には糸付きの縫い針を口にして、嘔吐した際に糸は上手く吐き出せたものの針が途中で舌の根元に喉から口の方向へ向かって刺さってしまった症例などもありました。
当然痛みを伴いますし、犬猫にとってはとても辛いことではありますが、ほとんどの場合は鎮静剤・麻酔を投与の上口から取り出すことができるので切開などの必要はありません。
口の中に留まるのは不幸中の幸いと言えます。
胃や腸に刺さる
飲み込んでしまった針や画鋲が胃や腸に到達し、刺さってしまうと「消化管穿孔（しょうかかんせんこう）」という消化管に穴が空いた状態になる可能性があります。
消化管穿孔になると、穴が空いた場所から食べ物・便・空気などが漏れ出し、腹膜炎が引き起こされて激しい痛みが伴います。
さらに腹膜炎を発症すると、発熱・嘔吐・下痢・腹痛などの症状を発症する可能性もあります。
誤飲の危険性がある針状のもの
おうちにあるもので犬猫の誤飲の可能性が高い針状のものをご紹介します。
裁縫針
これまで見た症例の中で最も多かったのが裁縫針の誤飲でした。
裁縫中に目を離した隙に口にしてしまったり、裁縫針に付いている糸で遊んだ勢いで誤飲してしまうことが多いようです。
針だけではなく、糸も犬猫が誤飲すると非常に危険なものなので合わせて注意しましょう。
画鋲
画鋲の誤飲も報告されています。
画鋲は裁縫針に比べて針の部分は短いですが、小さいため誤飲してしまう可能性が低くありません。
また、裁縫針よりも針が太いため、消化管に刺さってしまった場合よりも大きな傷がついてしまう可能性があります。
釣り針
釣りが趣味の方などはおうちに釣り針があるかと思います。
釣り針には魚のにおいが染みこんでいるため、犬猫が食べてしまう可能性も高いです。
また、釣り針は魚を釣るための道具なので、簡単に取れてしまわないように「返し」が付いていることが多いです。
そのため犬猫の体内に刺さってしまった際に取り出すのは画鋲や裁縫針より難しいようです。
針や画鋲の誤飲を防ぐために
犬猫の針や画鋲の誤飲を防ぐために日常的に行えることをご紹介します。
保管場所
裁縫針・画鋲・釣り針など、どんなものにも共通していることですが、保管場所には注意しましょう。
犬猫が開けることができないケースにしまった上で、犬猫の手が届かないところで保管するのをおすすめします。
使用中の注意点
裁縫中には必要最低限の裁縫針のみを用意して行うようにしましょう。
まち針などを挿しておく針山は常に視界に入る範囲に置いておき、もし犬猫が触れたらすぐにわかるようにしましょう。
釣り針などの特殊な道具をおうちで扱う際は犬猫近づけないようにしておくのをおすすめします。
画鋲は何かの弾みに外れて床に落ちると誤飲の危険性が高くなるので、できるだけテープやマグネットを使用するのがよいでしょう。
もしも誤飲してしまったら？
万が一、犬猫が針や画鋲を誤飲してしまった場合はすぐに動物病院へ行きましょう。
口内に針や画鋲が見えていたとしても素人が取り出すのは危険なのでプロに任せましょう。
治療の流れ
針や画鋲の誤飲がわかっている、若しくはその疑いがある場合はまずレントゲン検査を行います。
レントゲン検査によって異物の位置がわかるとその箇所に応じた治療を行います。
口内の場合は麻酔・鎮静剤投与のうえ摘出、さらに体内の奥へ進行している場合は内視鏡手術や開腹手術が行われます。
既に腸まで達している場合は緊急手術が行われることもあるようです。
また、異物の誤飲の治療として催吐処置が行われることがありますが、誤飲したものが針状のものの場合は嘔吐の際に消化管に刺さってしまう可能性があるため行われません。
【まとめ】針や画鋲の誤飲は非常に危険！
犬猫の針や画鋲の誤飲は意外と発生件数が多く、外科手術が必要になる場合もあります。
今回紹介したポイントをおさらいしましょう。
- 裁縫針・画鋲・釣り針などの誤飲が報告されているためおうちでの管理方法には気をつける
- 犬猫が針を誤飲した際は残留している箇所に応じた治療が必要で、胃や腸に到達している場合は開腹手術が必要になる場合もある
- もしも誤飲したことがわかった場合はすぐに動物病院へ連れて行き正しい処置を受ける
今回は針や画鋲を誤飲する危険性についてご紹介しました。
針状のものは体内に引っかかると自然と出てくることは難しく、犬猫が痛みを感じ続けることになります。
異変を感じたら決して放置せずに動物病院へ行きましょう。
