動物病院で犬猫用に処方される薬と、人間用の薬には成分が同じものもあります。
しかし、違う生物なので当然用法・用量は違うため、犬猫が人間用の薬を誤飲すると大変危険です。
また、人間には薬となるものでも犬猫にとっては毒となる成分もあります。
今回は犬猫が人間用の薬を誤飲する危険性や、特に危険な成分などについてご紹介したいと思います。
特に注意する薬
人間用の薬の中で特に犬猫に危険なものとその成分をご紹介します。
解熱鎮痛剤
熱が出たときや、頭痛・偏頭痛・肩こりなどの際に活躍する解熱鎮痛剤。
これらの薬に含まれる以下のような成分には十分注意しましょう。
アセトアミノフェン
人間が服用することによって痛み止めの作用がある「アセトアミノフェン」です。
犬猫はアセトアミノフェンを代謝することができないため、少量でも重篤化する可能性があります。
中毒症状には赤血球破壊による貧血・血尿や肝臓障害などがあり、早ければ摂取後18~36時間で死に至る場合もあります
今回ご紹介する成分の中でも特に危険なものの一つです。
イブプロフェン
抗炎症作用や解熱・鎮痛作用のある「イブプロフェン」。
アセトアミノフェンと同じく特に危険な成分の中の一つで、少量摂取でも命に関わる可能性があります。
胃・腎臓・心臓・神経系など体の様々な器官にダメージを与えます。
ロキソプロフェン
第一三共ヘルスケアから販売されている『ロキソニン』の名前の由来としてもお馴染みの「ロキソプロフェン」。
犬猫に対しても抗炎症・鎮痛目的でロキソプロフェンが投薬されることがありますが、体重1kgあたり1mg程度の量です。
そのため、1錠に60mgもロキソプロフェンを含むような人間用の薬の誤飲は危険です。
食欲不振・呼吸障害・発熱・出血を伴う嘔吐・運動失調・昏睡などの症状を引き起こす可能性があります。
睡眠導入剤
睡眠導入剤に含まれる「ゾルピデム」は、神経系に働きかけることによって鎮静作用や睡眠導入効果を促す成分です。
犬猫が摂取すると、嘔吐・運動失調・方向感覚の喪失などの症状が現れ、命に関わる危険性もあります。
飼い主様が使用したまま、ベッドサイドに置いてある睡眠導入剤の誤飲事故が多いようなので服用している方は注意しましょう。
また、以下のような理由から犬猫用の睡眠薬や鎮静剤を求める方がいるようです。
- 公共交通機関を利用するので大人しくしておいてほしい
- 夜中に何回も起こされる
- トリミングやシャンプーの際に暴れてしまう
- 夜鳴きがひどい
どうしても犬猫用の睡眠薬や鎮静剤が必要な場合は獣医師に相談しましょう。
ただし、犬猫用のものとはいえ犬猫の体に負担をかけたり、トラブルにつながる可能性もあります。
本当に必要か?他に対策する方法は無いか?などよく考えてから決めましょう。
抗うつ剤
保護猫・保護犬として迎えたばかりの犬猫などが警戒心からご飯を全く食べない場合があります。
そんなときに、犬猫にも獣医師から抗うつ剤が処方されることがあります。
犬猫用の抗うつ剤もありますが、人間用の抗うつ剤には犬猫が摂取すると危険な成分が入っている場合もあります。
「デュロキセチン」という成分は犬猫が摂取すると、異常な興奮や失神を引き起こす可能性があります。
人間用の薬の誤飲を防ぐために
犬猫が人間用の薬を誤飲してしまう事故を防ぐために日常的に行えることをご紹介します。
保管場所に気をつける
まず第一に、薬の保管場所に気をつけましょう。
病院で処方された薬や市販薬を犬猫の手が届く場所に置きっぱなしにするのはやめましょう。
必ず薬は犬猫の手が届かないところに置くか、収納しておきましょう。
PTPシートにも注意
薬を梱包する方法の一つでメジャーなのが「PTPシート」や「おくすりシート」と呼ばれるものです。
これはアルミやプラスチックを使用してできているため、犬猫が薬と一緒にこれらを食べてしまうと消化管を傷つけたり、腸閉塞を引き起こす可能性もあります。
薬を服用した後のゴミの処理にも十分注意しましょう。
捨てるときも注意
使い終わった電池の管理にも注意しましょう。
表面と裏面にビニールテープやセロハンテープを貼っておくと簡易的に絶縁出来るため万が一誤飲してしまった際に最悪の事態を免れる可能性が上がります。
また、電池はただの不燃ゴミではなくリサイクル品のため家電量販店や区施設などの回収BOXに入れるようにしましょう。
誤飲してしまった際の対処法
万が一、犬猫が人間用の薬を誤飲してしまった場合は直ちに動物病院へ行きましょう。
薬が吸収されてしまってからでは処置が難しいため、吸収される前に催吐処置で吐かせたり、胃洗浄というチューブを使って胃の内容物を吸引する処置が必要になります。
薬の誤飲は時間との勝負と言っても過言ではないので誤飲したのがわかった時点ですぐに動物病院へ行きましょう。
【まとめ】人間用の薬の誤飲は非常に危険!
犬猫が人間用の薬を誤飲すると非常に危険です。
今回紹介したポイントをおさらいしましょう。
- 人間の薬に含まれている成分の含有量は犬猫の許容量を大きく超える場合が多い
- 解熱鎮痛剤に含まれるアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの成分が特に危険
- 誤飲した場合、処置が遅れると命に関わるので迅速な対応が必要
今回は犬猫が人間用の薬を誤飲する危険性についてご紹介しました。
処方された薬や常備薬の扱いには十分注意してください。