長い茎の先に真っ赤な花を咲かせるのが特徴のアンスリウム。
見た目が華やかなアンスリウムは、観葉植物としてだけでなくプレゼントにも人気の植物です。
そんなアンスリウムは犬猫がいる環境でも安心して育てることができるのでしょうか。
アンスリウムには犬猫とって危険!
犬猫がいる環境でアンスリウムを育てるのはおすすめできません。
アンスリウムには犬猫にとって有害な成分が含まれているため、万が一食べてしまった場合体調を壊してしまう可能性があります。
今回はアンスリウムに含まれる有害な成分や、食べてしまった場合の対処法についてご紹介します。
アンスリウムの基本情報
学名
Anthurium
科・属
サトイモ科・ベニウチワ属
原産地
熱帯アメリカ・西インド諸島
開花時期
5月~10月
別名
大紅団扇
花言葉
煩悩・恋にもだえる心
アンスリウムに含まれる有害な成分
アンスリウムのようなサトイモ科の植物には「シュウ酸カルシウム」という成分が含まれています。
シュウ酸カルシウムは、針のような形をしているため皮膚や口内に刺さることがあります。
里芋や山芋を素手で触れた際に感じる痒みや赤みの正体が、手の皮膚に刺さったシュウ酸カルシウムです。
口内のpH値について
シュウ酸カルシウムが針の形を保つためにはpH7以上のpH値が必要とされています。
pH値とは0~14までの15段階で酸度・アルカリ度を示すための値で、数字が小さいほど酸性、大きいほどアルカリ性を示します。
以下の画像をご覧ください。
通常時の人間の口内のpH値は6.8~7ほどで、おおむね中性ですが食事中になるとpH値は6ほどになり酸性に近づきます。
そのため、人がとろろや生の山芋を食べて口の周りに痒みを感じることはあっても口内に痛みを感じることはありません。
里芋や山芋に触れて皮膚が痒くなってしまった場合は、お酢やレモン果汁などの酸性の液体で洗うことで痒みを無くすことができます。
犬猫の口内はアルカリ性
犬の口内はpH8~8.5、猫の口内はpH7.5~8.5とされており、犬も猫も人間よりもアルカリ度が強いのがわかります。
そのため、犬猫がアンスリウムに含まれるシュウ酸カルシウムを口にすると針状の形が壊れることなく、口内やのどに刺さってしまう可能性があります。
症状
犬猫がシュウ酸カルシウムを口にすると以下のような症状がみられると言われています。
- よだれの分泌量が増える
- 口内の炎症
- 嘔吐
- 気道閉塞
- 痙攣
また、アンスリウムの葉液が犬猫に触れることによって皮膚炎を発症する可能性もあります。
シュウ酸カルシウム結石の可能性
犬猫が「シュウ酸」をたくさん摂取することは良くないと言われています。
このシュウ酸とは、ほうれん草などに多く含まれている「シュウ酸ナトリウム」のことです。
シュウ酸ナトリウムは、犬猫の尿中のカルシウムと結合することによって「シュウ酸カルシウム結石」を生成してしまいます。
サトイモ科の植物に含まれる既に結合したシュウ酸カルシウムの摂取が尿路結石に繋がるかはまだはっきりしていない部分があります。
しかし、可能性はゼロとは言い切れないため注意が必要です。
アンスリウムの花は・・・
アンスリウムといえば赤い花をイメージする方が多いかもしれませんが、実は赤い部分は花ではありません。
赤い部分は「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる、「がく」という花を支える部分が変化したものです。
アンスリウムの花は赤い仏炎苞に包まれている黄色や白の棒状の部分です。
「肉穂花序(にくすいかじょ)」という特殊な花の付け方で、棒状の部分にいくつも花が集まっています。
棒状の部分に近づいて見ると「つぶつぶ」がいくつもありますが、これら一つ一つが花です。
もしもアンスリウムを食べてしまったら
もしも、犬猫がアンスリウムを食べたり囓ったりしてしまった場合は、可能であればすぐに口から取りだしてあげましょう。
犬猫はアンスリウムを囓ったとしても痛みを感じて吐き出すことが多いようです。
一時的に痒みや痛みを感じて水を多く飲むなどするかもしれませんが、重篤化する心配はあまりないようです。
もし、飲み込んでしまったり症状が治まらない場合は獣医師へ相談・診察してもらいましょう。
共生させる場合は
犬猫がいる環境でアンスリウムを育てる場合は、別の部屋で育てることをおすすめします。
それが難しい場合はアンスリウムにカバーをするなど、犬猫が触れられないようにするのが良いです。
もし一度食べてしまった犬猫は学習して、その後は口にしないこともあるようですが確実ではないので注意しましょう。
【まとめ】アンスリウムには犬猫にとって危険な成分が含まれている
犬猫がいる環境でアンスリウムを育てるのはおすすめできません。
今回紹介した成分や注意点についておさらいしましょう。
- アンスリウムにはシュウ酸カルシウムが含まれている
- シュウ酸カルシウムは針のような形をしており、犬猫が食べると口内の痛みや嘔吐など症状が現れる可能性がある
- 尿路結石と関係がある可能性もあるので注意
今回は犬猫を飼っている環境でのアンスリウムについてご紹介しました。
犬猫を飼っていて、これから観葉植物の設置を検討している方はアンスリウム以外で安全な観葉植物をおすすめします。