まっすぐ伸びた茎に紫色の花を付けるキキョウ。風船のように膨らんだつぼみも特徴的です。
花びらは五枚に分かれているように見えますが、全て繋がっている「合弁花」という種類の花です。
その美しい見た目は古くから東アジアを中心に親しまれてきました。
そんなキキョウは犬猫がいる環境でも安心して育てることができるのでしょうか。
キキョウは犬猫にとって危険な植物!
キキョウには犬猫にとって有毒な成分が含まれているため、犬猫が誤って食べてしまうと悪い影響を与える可能性があります。
今回はキキョウに含まれる毒の成分・症状・食べてしまったときの対処法などについて解説していきたいと思います。
キキョウの基本情報
学名
Platycodon grandiflorus
科・属
キキョウ科・キキョウ属
原産地
日本・朝鮮半島・中国北部
開花時期
6月~9月
別名
岡止々支(オカトトキ)
花言葉
変わらぬ愛・清楚・誠実・気品
キキョウに含まれる毒性成分
キキョウには「サポニン」という成分が含まれています。
サポニンは人間には良い効果があり、キキョウの根は漢方として活用されているほどです。
サポニンの効果
サポニンを人間が摂取すると以下のような効果があります。
- 脂肪の蓄積を抑える
体内でブドウ糖と脂肪が合体するのを抑制し、脂肪の蓄積を抑えます。
肥満予防効果だけでなく、脂肪肝も防ぎ肝機能向上効果も期待できます。 - 抗酸化作用
活性酸素によってコレステロールが酸化し、悪玉コレステロールになってしまうのを防ぎます。
悪玉コレステロールが増えると血液がドロドロになり、動脈硬化や心筋梗塞・脳梗塞の原因となる可能性があります。 - 咳や痰の抑制
気管の分泌液が促進され、肺のゴミや異物を排除しやすくなります。
気管が綺麗になることで咳を抑えたり痰を出しやすくなります。 - 免疫力向上
免疫効果を持っている「ナチュラルキラー細胞」という細胞の働きを活性化させる働きがあります。
体の免疫力が向上し、風邪やインフルエンザを予防します。
最近の研究では抗がん効果もあるのではないかと期待されています。
サポニンにもいくつか種類はあり、効果もそれぞれ異なります。
キキョウに含まれるサポニンはこの中でも「咳や痰の抑制」の効果が高く、漢方では去痰・鎮咳剤として使用されています。
他にもキキョウのサポニンにはのどの腫れや化膿にも効果があると言われています。
犬猫がサポニンを摂取すると
犬猫がサポニンを摂取すると以下のような症状を引き起こす可能性があります。
- 下痢
- 嘔吐
- 胃腸炎
- 血圧低下
- 溶血性貧血
- 呼吸困難
- 意識障害
- 心臓麻痺
人間にとっては薬となるサポニンでも、犬猫が摂取すると最悪の場合心臓麻痺を引き起こす可能性があります。
サポニンはキキョウの中でも特に根に多く含まれているので注意しましょう。
トルコキキョウについて
トルコキキョウは名前に「キキョウ」とついてはいますが、キキョウ科ではなくリンドウ科の植物なのでキキョウの仲間ではありません。
トルコキキョウにはマタタビのような効果があり、猫が夢中になる植物の一種のようです。
しかしマタタビとは違い、猫が摂取すると嘔吐・意識朦朧・大量のよだれの分泌などの症状を引き起こす可能性があります。
匂いを嗅ぐ程度では問題ありませんが、食べてしまうと危険なので注意しましょう。
犬猫がキキョウを食べてしまわないために
もしもご家庭でキキョウを育てている場合は犬猫を近づけないように注意しましょう。
屋外で育てることが多い植物なので、室内飼いの場合はほとんど心配ありませんが犬の散歩の際などは注意しましょう。
お庭で育てている場合に犬猫を庭遊びさせるときは目を離さずに見守ってあげましょう。
犬猫は土いじりも好きなため、目を離している間に根を掘り返して食べてしまうと大変です。
もしも食べてしまったら
万が一犬猫がキキョウを食べてしまったらすぐに口の中に残っている分を取り出してあげましょう。
花や葉を少し食べてしまった程度では重篤化することは考えにくいです。
少し様子を見て嘔吐等の症状が収まらない場合や、根を食べてしまった場合などは獣医師へ相談しましょう。
また、既に飲み込んでしまったものを素人が無理矢理吐き出させようとするのは危険です。
高濃度の塩水を無理矢理飲ませて嘔吐を促す方法などがあるようですが犬猫の体の負担になるのでやめましょう。
【まとめ】キキョウは犬猫にとって危険な植物
キキョウは犬猫が誤って食べてしまうと危険な植物です。成分や危険性についておさらいしましょう。
- 「サポニン」という漢方に活用されている薬用成分が含まれている
- 人間には去痰・鎮咳などの効果があるが、犬猫が摂取すると中毒症状を引き起こす可能性がある
- 万が一食べてしまった場合は必要に応じて動物病院を受診し適切な処置を受ける
今回は犬猫に対するキキョウの危険性についてご紹介しました。
サポニンのように人間にとっては薬になっても犬猫には毒となってしまう成分もあるので注意しましょう。