クチナシは梅雨時に大きく純白の花を咲かせ、強い芳香を漂わせる花木で、キンモクセイやジンチョウゲと並ぶ三大芳香花として知られてます。
花が終わった後のクチナシの果実は、黄色の染料として利用されることや漢方の山梔子(さんしし)として用いられます。
この果実は熟しても裂開せず、その様子が口を開かない=クチナシとの和名がつけられたと言われています。
しかし庭木や街路樹として育てられているクチナシは実をつけない八重咲の『オオヤエクチナシ(ヤエクチナシ)』が多く、クチナシの実を見る事はあまりないでしょう。
クチナシの基本情報
学名:Gardenia jasminoides
和名:クチナシ(梔子)
科名 / 属名:アカネ科 / クチナシ属
開花時期:6月~7月
花言葉:「喜びを運ぶ」「とても幸せ」
クチナシは犬猫にとって危険な植物!
クチナシは犬猫にとって有毒な成分を含んでいるため誤食がないように注意しましょう。
主な毒性は『ゲニポシド』『ガーデノシド』
クチナシの毒性は主にゲニポシドやガーデノシドであるといわれています。
ゲニポシドは人間に対する健康的メリットが期待される成分として「杜仲茶」などで知られていますが、犬や猫にとっては有毒な成分であり、中等度から重度の中毒症状を引き起こす可能性があります。
クチナシの全草に有毒成分は含まれると考えられているので、花だけではなく、葉や枝なども摂取しないように気をつけてあげましょう。
犬猫がクチナシを食べてしまったら
クチナシ中毒による症状は様々で、植物のどの部分を食べたか、どれだけ食べたかによって異なります。
クチナシを犬猫が食べてしまった場合に起こりうる中毒症状は以下の通りです。
クチナシの摂取で起こる主な中毒症状例
- 下痢
- 嘔吐
- 食欲不振
- 腹痛
- 発疹
- 低血圧
- 心拍異常
- 痙攣
- ふらつき
- 昏睡
上記でも解説しましたが、犬や猫がクチナシを食べてしまった場合、中等度から重度の中毒症状を引き起こすといわれています。
しかしクチナシは犬や猫が好まない苦みがあるといわれているので、ムシャムシャと大量に食べてしまう事はごく稀でしょう。
このため重篤な症状を引き起こすほど摂取してしまう事は考えにくいのですが、中等度の中毒症状であっても犬や猫にとっては辛く苦しい症状に変わりありません。
クチナシを食べてしまった場合の対処法
犬や猫がクチナシを食べてしまった場合、程度は個体差によるところが大きいですが、下痢や嘔吐、発疹などの症状が出る事が多いようです。
どの部分をどの程度食べてしまったのか、時間の経過や中毒症状の有無などを確認しすぐに動物病院へ相談しましょう。
早い段階で獣医師による処置やアドバイスをもらえれば早期回復に繋がります。
予防策と安全な環境づくり
犬や猫がクチナシを摂取するリスクを軽減させるためには、予防策や環境づくりが大切であると考えます。
有害植物を除外する
犬や猫の行動範囲内に有毒植物を置かないようにすることが一番の予防策となるでしょう。
クチナシはとても香りが良く季節を感じる花なので、自宅の庭や切り花で楽しみたいところですが、犬猫が触れられる場所に置くことでリスクを高めてしまいます。
屋内に飾らない、自宅の庭でも犬猫の行動範囲外に植える事や、近づけないように柵を設置するなどの対処をすることで安全な環境づくりが叶うでしょう。
環境を充実させる
犬や猫が興味をもち、安全に遊べるおもちゃや環境エンリッチメントを整えるのも重要です。
環境エンリッチメントとは、飼育動物の“幸福な暮らし”を実現するための具体的な方策のことを指します。
屋内であっても多少の運動ができ、安全なおもちゃで遊べる環境を整える事で犬や猫の好奇心を満たすことが大切であると考えます。
まとめ
クチナシは犬や猫にとって有害な成分を含む植物なので、摂取しないように注意が必要です。
クチナシに含まれる有毒成分によって、下痢や嘔吐などの症状が多いようですが、ごくまれに摂取量や個体差によっては重篤な症状を引き起こす可能性があるため、口にすることが無いよう環境を整えてあげましょう。
万が一、犬や猫がクチナシを摂取してしまった場合にはすぐに動物病院へ相談し、獣医師の指示に従いましょう。
犬猫の健康を守るためには、植物や物品を慎重管理し、獣医師のアドバイスを受けることが大切です。
中毒の可能性のある植物には常に注意を払って、安全な環境を提供しましょう。
参考:ASPCA