愛犬・愛猫に与える鱈(たら)について
秋から冬にかけて旬を迎える白身魚の鱈。そのふっくらとした身はお鍋や煮付けなどでとても人気の食材です。
人間にはとても人気の鱈ですが、そんな鱈を犬猫と一緒に楽しむことはできるのでしょうか。
今回は「犬猫は鱈を食べて大丈夫なのか?与える際の注意点」などについて解説していきます。
犬や猫は鱈を食べても大丈夫!
犬猫は鱈を食べても大丈夫です。愛犬や愛猫と一緒に鱈を楽しむことはできます。
ですが鱈を犬猫に与える際に注意しなければいけないポイントがあります。
生で食べても大丈夫?
人間の場合でも鱈を生で食べる機会はなかなか無いと思います。
その理由は大きく二つあります。
鮮度落ちが早い
「鱈は沖で食え」と言われるぐらい鱈は痛むのが早い魚です。なのでスーパーなどにはなかなか生食用の鱈が並ぶことはないんです。
一部の鱈の水揚げがある地域などでは鱈のお刺身を楽しむことができるようです。
寄生虫が多い
鱈にはアニサキスという寄生虫が寄生している確率が非常に高いです。その確率はほぼ100%と言われるほどです。
アニサキスを食べてしまうと激しい腹痛・下痢・嘔吐などの症状が発症する場合があります。
放置してもアニサキスは死んでしまうので大事に至る可能性は低いですが4~5日ほど症状に耐えなくてはいけません。
アニサキスは加熱(60度で1分以上)することで死滅するので加熱調理をしましょう。
犬猫にも生で与えないで
人間が生食を避けるものなのでもちろん犬猫にも生で食べさせるのはやめましょう。
寄生虫の心配もありますし、鱈にはチアミナーゼという酵素が含まれています。チアミナーゼはビタミンB1を破壊してしまう酵素です。
ビタミンB1は犬猫にとってとても重要な栄養素で、欠乏すると「ビタミンB1欠乏症」という病気になってしまうかもしれません。ビタミンB1欠乏症は最悪の場合死に至る可能性のある恐ろしい病気です。
チアミナーゼは加熱することで死滅するので、鱈を犬猫に与える際には必ず火を通してから与えるようにしましょう。
皮や白子は食べられる?
身と同じく火を通したものに限りますが、鱈の皮や白子も犬猫は食べても大丈夫です。
「鱈の白子は京都などの一部地域ではその見た目から「雲子(くもこ)」と呼ばれています。コクがある味わいで生の白子をポン酢で食べるととても美味しいです。
しかし犬猫に生の白子を与えてはいけません。この美味しさを愛犬や愛猫と共有できないのは残念ですが、犬猫には茹でるなどの加熱処理をし、鱈の白子ポン酢をまだ食べたことのない飼い主様はぜひ食べてみてください。
鱈に含まれる代表的な栄養素
まだら 生 可食部100g当たり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 72kcal |
たんぱく質 | 14.2g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 3.5mg |
ビタミンB12 | 1.3μg |
ビタミンD | 1.0μg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
たんぱく質
鱈のたんぱく質量は100gあたり14.2gです。他の食材と比べてみましょう。
食材 | たんぱく質含有量 |
---|---|
大豆(全粒 黄大豆 国産 乾) | 32.9g |
サーモン(養殖 皮なし 生) | 16.7g |
牛肉(もも 赤肉 生) | 17.8g |
豚肉(もも 赤肉 生) | 18.0g |
鶏肉(むね 皮なし 生) | 19.7 |
鶏卵(全卵 生) | 11.3g |
上の表を見てみるとサーモンやお肉類と比べると少したんぱく質量は少ないですが鱈の特徴はなんといっても脂質が少ないことです。
サーモンを例に挙げてみると、サーモンの脂質は100gあたり15.7gなのに対し鱈の脂質は100gあたりなんと0.1gです!
もちろんサーモンの脂質の中には体に良い油も含まれていますが鱈の脂質がサーモンの157分の1なのは驚きですよね。
といったように低脂質・高たんぱくが鱈の特徴です。たんぱく質は皮膚・内臓・骨・被毛など犬猫の体をつくるうえで欠かせない栄養素です。
アルギニン
アルギニンは犬や猫にとって必須アミノ酸の一つです。このアルギニンは腎不全対策にもなる栄養素です。
腎臓が悪くなると本来体の外に出て行くべき老廃物が蓄積されてしまい、インスリンの働きが悪くなります。
インスリンの働きが悪くなると血糖値の調節がうまくいかず糖尿病を引き起こします。高血糖状態が続くとたんぱく尿が出るようになり腎臓の濾過が追いつかず腎不全につながります。
アルギニンにはインスリンの分泌を活発にする働きがあるので腎不全対策になるのです。そんなアルギニンは鱈の白子に多く含まれています。
ビタミンB12
ビタミンB12はたんぱく質の合成や赤血球を作るのに必要なビタミンです。不足すると貧血などになる恐れがあります。
体内で生成することができないビタミンなので積極的に摂取したいですね。
ビタミンD
ビタミンDはカルシウムやリンを吸収するために必要な栄養素のひとつです。
ビタミンDが欠乏すると、骨粗しょう症やくる病、腎障害などの病気になる可能性があります。
くる病になると骨の成長に異常が見られ、骨が曲がったり関節が膨らんだりします。もしも愛犬や愛猫の足首のあたりの骨が膨らんでいたら動物病院への相談をおすすめします。
ビタミンDは人間や犬の場合、日光を浴びることによって体内で生成することができます。しかし猫の体にはその機能がないので食事からの摂取が必要です。
犬や猫に鱈をあげる際の注意点
鱈は犬や猫が食べても大丈夫な食材ですが、鱈を与える際にはいくつかの注意点があります。
小骨に注意
鱈には小骨が多いです。犬や猫は人間のように食べ物をよく噛んで食べるということをせず丸呑みしがちです。
鱈の骨が口の中や消化器官に刺さってはいけないので骨には十分注意しましょう。
アレルギーは大丈夫?
犬猫は鱈にアレルギーを持っている場合があります。初めて与える場合はごく少量にして様子を見ましょう。
皮膚や口周りの赤みやかゆみ・腫れ等が見られた場合すぐに与えるのを辞め、症状がひどくなる場合は動物病院へ行きましょう。
犬や猫にあげる鱈のレシピ
餃子の皮を使ったピザです。具には鱈・トマト・カッテージチーズを使っています。
鱈・パプリカ・ズッキーニなどを使ったラタトゥイユです。
野菜たっぷりでビタミンもたくさん摂れます。
【まとめ】犬猫は鱈を食べても大丈夫
犬猫は鱈を食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
・寄生虫やビタミンB1欠乏症の心配もあるので生では与えない
・食べ過ぎは普段のフードを食べられなくなるかもしれないので与えすぎない
・骨に注意
今回は鱈について紹介しました。鱈は注意点を守れば犬猫が食べても大丈夫な食材です。
普段のフードにちょい足しで与えてみてください。