ノビル(野蒜)という野菜をご存じでしょうか。
日当たりのよい道端や川沿いなどに生えている野草の一種で以下のような見た目をしています。
意外と身近に生えている野草なので、名前は知らなかったけど見たことはあるという方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
ノビルは食材として市場に出回ることは少ないですが、滋養強壮に良いと言われており山菜のような感覚で楽しむ愛好家の方もいるようです。
そんなノビルは犬猫が食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫はノビルを食べてはいけない!
犬や猫にノビルを与えてはいけません。
ノビルはネギ・にんにく・らっきょうなどに似た見た目をしていますがその見た目通りネギの仲間です。
ネギと同様に犬猫が食べてはいけない成分が含まれているので解説していきたいと思います。
犬猫がノビルを食べるとどうなる?
犬猫がノビルなどのネギの仲間を食べると「ネギ中毒」と呼ばれる中毒症状を起こしてしまいます。
ネギ中毒の原因は?
長年ネギ中毒の原因はネギの仲間に含まれる「アリルプロピルジスルフィド」という物質だと考えられていました。
しかし近年では研究が進み、本当の原因は「有機チオ硫酸化合物」という物質だということがわかりました。
この有機チオ硫酸化合物には赤血球にあるヘモグロビンを酸化させて「メトヘモグロビン」という物質に変化させる作用があります。
こうなってしまった赤血球は壊れやすくなり、体中に酸素を運搬する役割を失ってしまいます。
ネギ中毒の症状や致死量は?
ネギ中毒の症状には以下のようなものがあります。
- 下痢
- 嘔吐
- 溶血性貧血
- 血尿・血便
- 吐血
- 急性腎不全
赤血球が破壊されやすくなるためこの中でも貧血や血尿がよくみられる症状のようです。
またネギ中毒は急性腎不全を引き起こし、最悪の場合死に至る可能性もあるため注意が必要です。
致死量ははっきりとわかっておらず、少量であっても死亡する危険性もあります。
加熱すれば食べても大丈夫?
犬猫が摂取してはいけない成分の中には加熱することで死滅したり活性を失うものがあります。
そのため生魚やきのこ類など、そのままでは食べてはいけないものでも加熱すれば食べても大丈夫になるものは結構あります。
しかしノビルに含まれる有機チオ硫酸化合物は加熱しても分解されることがありませんので、加熱したものでも絶対に与えないようにしてください。
人間は大丈夫?
実は人間にもネギ中毒になる可能性はあります。
ですが犬猫と人間では赤血球の大きさや量が違うため人間がネギ中毒になるには玉ねぎだと5~10個ほど食べる必要があるようです。
なかなか一度にそんなにたくさんのネギ類を食べる機会はないと思うので可能性はあるが危険性は少ないといえます。
また、生のネギ類には「アリシン」という成分が含まれており適量摂取することで血液をサラサラにする効果があります。
このアリシンを過剰に摂取すると胃液が大量に分泌され腹痛や下痢を引き起こす可能性があるので生のネギ類の食べ過ぎには注意しましょう。
犬猫がノビルを食べないために
ノビルは道端や川沿いにも生えていることがあるため愛犬の散歩中には注意してください。
もしネギのようなものが生えていたらノビルの可能性があるので近づけないようにしましょう。
猫の場合、外に出て行ってしまってる間に道に生えているノビルを食べてしまう可能性も無くはありませんので、おうちから逃げてしまわないように注意してください。
ノビルだけでなく犬猫が食べてはいけない植物は意外と多いので注意しましょう。
もしも食べてしまったら
もしも犬猫が目の前でノビルを食べてしまったら、すぐに止めて口の中に残っていれば取り除いてあげましょう。
無理矢理吐かせるのは犬猫の消化器官を傷つける可能性があるため良くないですが、見える範囲にあるものは取ってあげた方がいいでしょう。
問題は気づかないうちに食べていた場合ですが、いち早く症状に気づいてあげる必要があります。
前述したような血尿・血便・貧血などの症状が見られた場合は心当たりがなくても一度動物病院を受診した方がいいでしょう。
症状が発症するのは遅いと数日後ということもあるようです。
そのまま放置しておくと重篤化する可能性もあるため普段からよく注意して見てあげましょう。
【まとめ】犬猫はノビルを食べてはいけない
犬猫はノビルを食べてはいけません。NGポイントをおさらいしましょう。
- ノビルはネギの仲間なので有機チオ硫酸化合物という成分が含まれている
- 有機チオ硫酸化合物は体内の赤血球を破壊してしまう成分
- 溶血性貧血・血尿・血便・急性腎不全などを引き起こし最悪の場合死に至る可能性もある
ノビルなどのネギ類は犬猫に食べさせてはいけない代表的な食材です。
散歩中や外出時に外に生えているノビルを食べてしまわないように注意しましょう。