犬猫だけでなくありとあらゆる生き物が生きていくのに欠かせないのが水。
人間は水分を全く摂らないと4~5日で死んでしまうと言われており、犬猫も水分なしで生きられるのは同じぐらいの期間だと言われています。
犬猫を飼っている方は当然水を与える必要がありますがどんな水を与えるのが良いのでしょうか。
今回は水の種類別に犬猫に与えるのに向いているのが紹介していきたいと思います。
軟水か硬水どっちがいい?
水には「硬度」というものがあり、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの含有量によって硬度が決まります。
WHO(世界保健機関)が定める基準によると軟水か硬水かは以下の表のようになっています。
軟水 | 中硬水 | 硬水 | 超硬水 | |
---|---|---|---|---|
1Lあたりの 炭酸カルシウム含有量 | ~60mg | 60~120mg | 120~180mg | 180mg~ |
東京大学の研究によると日本の水道水の硬度の平均は48.9mg/Lなので日本の水道水は軟水に分類されます。
反対にヨーロッパや欧米の水は硬水が多く、その違いは国の地形が関係していると言われています。
日本は世界的に見ると河川の長さが短く、海までの傾斜が大きいため雨水や雪溶け水が素早く海へたどり着きます。
それに比べてヨーロッパや欧米は傾斜が緩やかで海へたどり着くスピードが遅いためその過程で地層のミネラルがたくさん溶け込み硬水になります。
軟水と硬水の違い
軟水と硬水の違いをそれぞれの特徴とともにご紹介します。
軟水
- 口当たりが軽くて飲みやすい
- 肌や髪に優しい
- 石鹸・洗剤の泡立ちがよい
- ミネラル摂取の面では期待できない
硬水
- 運動後などのミネラル摂取に向いている
- 便秘解消の効果がある
- 苦味やクセがあり日本人には飲みにくい
- 慣れていないうちに飲むとお腹を壊す可能性がある
軟水はあまり体の刺激にならないため赤ん坊でも安心して飲めると言われています。
硬水はミネラル摂取には向いていますが軟水になれている日本人が飲むとクセがあり飲みにくく感じたりお腹を壊したりすることがあります。
料理に使用する場合での違い
軟水か硬水かによって向いている料理も違います。
軟水
- お米を炊くとふっくら仕上がる
- うま味成分が引き立ちやすくなるため和風だしをとるのに向いている
- 野菜を煮ると柔らかくなり味がよく染みる
- パスタを茹でたときにコシがでにくい
硬水
- お米を炊くと歯ごたえがでるのでパエリアやピラフに向いている
- 肉を煮込むとタンパク質とミネラルが結合してアクとして溶け出すため、臭みなく柔らかくなる。ビーフシチューやポトフに向いている
- 野菜を煮込むと煮崩れさせずにアクを取り除きやすい
- パスタを煮込むとミネラルとでんぷんが結びついてコシがでやすい
軟水と硬水を比較して見てみると水の性質はそれぞれの国の伝統料理にも影響していることがわかります。
犬猫にはどっちを与えるべき?
犬猫はシュウ酸カルシウム結石やストルバイト結石などの尿路結石症になりやすい動物だと言われています。
ミネラルの過剰摂取は尿路結石症の原因となってしまう可能性があります。
必要なミネラルを基本の食事で摂取し、ミネラル豊富な硬水まで与えてしまうとミネラル過剰になりやすいため犬猫に与えるのは軟水がおすすめです。
参考:東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部『あなたの水道水、「硬さ」調べました~日本全国水道水の硬度分布~』
カルキについて
水道水には「カルキ」という塩素を主成分とした殺菌効果のある粉末状の物質が溶けています。
カルキの働きによって水道水に含まれる微生物を殺菌することができ安全に飲むことができます。
人体や犬猫の体への影響はない程度の薄い塩素のため水道水をそのまま与えても問題ないですがカルキが溶け込んだ水からは独特のカルキ臭がします。
繊細な犬猫はこのカルキ臭を気にして水を飲んでくれないこともあるのでそんなときは一度水を沸騰させてカルキを飛ばしてから冷ましたものを与えてみましょう。
ただしカルキを飛ばした水は保存性も落ちるため注意しましょう。
水道水以外の水について
水道水以外の水を犬猫に与える場合の注意点をご紹介します。
浄水器を通した水
浄水器を通した水は犬猫に与えても大丈夫です。水道管などの汚れなどが心配の場合はおすすめです。
浄水器でもカルキを取り除くことはできますが完全に0にすることはできないので注意してください。
ミネラルウォーター
ミネラルウォーターはその名の通りミネラルが含まれている水です。
日本で製造されているミネラルウォーターのほとんどは日本人に合わせて軟水になっているため犬猫に与えても問題ないといえます。
ただし海外で製造されているミネラルウォーターは硬水である場合が多いので犬猫には向きません。
ウォーターサーバーの水
ウォーターサーバーは大きく分けて2種類あり、「水道水を利用するもの」と「送られてくる水をセットするもの」があります。
水道水を利用するものは工事をして水道水に直結するタイプと自分で水道水を補充するものがあります。
どちらも水道水を浄水するものなので浄水器の水と同じように犬猫に与えても問題ないといえます。
送られてくる水をセットするタイプのものは会社によって水の質が違うので、犬猫に与えても大丈夫かウォーターサーバー会社に問い合わせるのがよいでしょう。
どちらのタイプもウォーターサーバー自体の衛生面には注意し、綺麗な水を犬猫に与えてあげましょう。
犬猫が水を飲んでくれないときは
犬猫を飼っている方にとって水を飲んでくれないという悩みは少なくありません。
対策をいくつかご紹介するので参考にしてみてください。
綺麗な水を用意する
これが一番簡単な対策方法です。
犬猫は綺麗な水を好むため何日も同じ水がウォーターボウルに入っているような状況は衛生的にもよくないです。
フードボウルを清潔な状態に保ち、1日に2~3回は綺麗な水に入れ替えてあげるのがベストです。
自動給水器を使用する
自動給水器は水を入れておくと噴水のように巡回させてくれる機械です。
特に猫に多いのがウォーターボウルに入っている水は飲まずに蛇口から出てくる水は飲むという場合。
猫にとって蛇口から出てきて流動する水はとても興味深いものでそれを好んで飲むのだそうです。
つまり猫は止まっている水に興味は無く、動いている水に興味を持つといえます。
自動給水器はその特性を上手く活かしている商品です。
ストレスの対策をする
犬猫が水を飲む際のストレスを減らしてあげることも重要です。
ウォーターボウルが低い位置にありすぎると犬猫が水を飲む際に首に不可がかかりストレスとなってしまいます。
最近では背が高めに作られているフードボウルやウォーターボウルが多くありますので是非検討してみてはいかがでしょうか。
また、猫に特有のものに「ウィスカーストレス」という、猫がヒゲを介して感じるストレスがあります。
猫は犬に比べてヒゲがとても敏感なため、水を飲むときにウォーターボウルにヒゲが当たってしまっただけでストレスを感じてしまいます。
そのストレスの結果、水を飲まなくなってしまうことがあるようです。
その対策としてフラットになっているウォーターボウルやフードボウルも販売されています。
獣医師へ相談する
どうしても水を飲んでくれないときは獣医師へ頼るのが一番です。
ストレスや衛生的な問題ではなく体のどこかで異常が起きていると早期発見が重要になります。
異変を感じたらすぐに獣医師へ相談しましょう。
【まとめ】犬猫に与える水について
犬猫に与える水について今回のポイントをおさらいしましょう。
- 犬猫には硬水より軟水を与えたほうがよい
- 与える水は水道水で良いが必ず清潔なものを与える
- 水を飲んでくれないときはウォーターボウルなど対策し、どうしても飲まない場合は獣医師へ相談する
今回は犬や猫に与える水について解説しました。
水は犬猫が健康に過ごす上でとても大切なものなので是非ご紹介した内容は覚えておいてください。