犬猫とビーツ
真っ赤な見た目が特徴の野菜ビーツは「食べる輸血」とも呼ばれているスーパーフードです。
スーパーなどで見かけることはあまりないと思いますが外食をした際にサラダに入っていたりします。
ロシア料理の「ボルシチ」には欠かせない野菜ですが、そんなビーツは犬猫が食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫はビーツを食べても大丈夫!
犬や猫はビーツを食べても大丈夫です。
ただしいくつか注意点はありますので今回は注意点や与え方を解説していきます。
ビーツを食べると血尿になる?
犬猫がビーツを食べると尿が赤くなることがあります。
血尿かと思って焦ってしまうかもしれませんがこれはビーツに含まれる「ベタシアニン」という赤い色素の影響です。
ビーツを食べた後に赤い尿が出ても血尿ではないので安心してください。
しかしビーツを与えてからしばらく経つのに赤い尿が出続けている場合は血尿の可能性があるので獣医に相談しましょう。
生のまま食べても大丈夫?
生のビーツには毒性のある成分は含まれていないので犬猫がそのまま食べても大丈夫ですが、加熱調理をおすすめします。
その理由は大きく2つあります。
シュウ酸が含まれている
ビーツには「シュウ酸」という成分が含まれています。このシュウ酸は野菜のえぐみの元となる成分で野菜を茹でたときに出てくるアクです。
このシュウ酸をたくさん摂取すると体内の尿中カルシウムと結びついて「シュウ酸カルシウム結石」という結石になることがあります。
シュウ酸は水溶性の成分なのでお湯で茹でると効果的に含有量を減らすことが出来ます。
シュウ酸が気になる場合は茹でてから与えるのをおすすめします。
加熱すると柔らかくなる
ビーツは大根やカブと同じ根菜類ですが大根などに比べると固いです。
固いビーツをそのまま与えるとのどに詰めてしまうかもしれませんし消化にも悪いです。
基本的には加熱して柔らかくなったものを与えることをおすすめしますがもし生のままビーツを与えたい場合はすりおろしたものにするとよいでしょう。
ビーツに含まれる代表的な栄養素
根 生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 38kcal |
たんぱく質 | 1.0g |
脂質 | 0.1g |
食物繊維総量 | 2.7g |
カリウム | 460mg |
鉄 | 0.4mg |
葉酸 | 110μg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
食物繊維
ビーツには食物繊維が含まれています。
食物繊維は主に植物に含まれている成分で、草食動物は食物繊維を消化吸収することでエネルギー源として利用しますが
消化吸収をすることができない雑食の犬や肉食の猫には不要なものだと考えられていました。
しかし近年では適量摂取することによって腸内環境や便通の改善につながることがわかっておりペットフードに含まれていることもあります。
しかし犬猫が消化吸収することが出来ないことには変わりないので過度に摂取してしまうと消化不良から便秘や下痢になってしまうこともあるので注意しましょう。
カリウム
カリウムは犬や猫だけでなく多くの生物にとって欠かせないミネラルです。体液の浸透圧の調整や細胞機能の維持がカリウム主な役割です。。
カリウムは不足すると「低カリウム血症」の恐れがあるので必ず摂取したい栄養素です。低カリウム血症になると筋量低下や歩行不全などの症状が現れます。
総合栄養食のペットフードを与えているとカリウムが不足する心配は基本的にはありませんが手作りご飯を作る場合はカリウム不足にならないように注意しましょう。
通常摂取しすぎて不要になったカリウムは尿とともに体外へ排出されますが尿閉塞などの理由で上手くおしっこをだせない犬猫は
血液中のカリウム濃度が上がっていき高カリウム血症になってしまう恐れがあるので注意しましょう。
高カリウム血症は最悪の場合死に至る恐ろしい病気です。愛犬・愛猫が上手く排尿できているか・トイレに何度も行っていないかなど普段から気を配ってあげてください。
鉄
鉄は貧血になると摂取するイメージですが、鉄は体内で「ヘモグロビン」や「ミオグロビン」という物質を作ります。
この2つはどちらも赤血球の中に滞在し、ヘモグロビンは体中に酸素を運搬する役割、ミオグロビンは筋肉中で酸素を蓄積しておく役割があります。
犬猫が鉄分不足になると人間と同じようにふらついたりする症状が現れます。
過剰に摂取しても下痢や食欲低下につながるので注意しましょう。
その他の栄養素
ベタシアニン
先述したとおりビーツにはベタシアニンという色素が含まれています。これはポリフェノールの一種でとても強い抗酸化作用があります。
激しい運動や老化による酸化ストレスから体を守る効果があるほか、がん予防にもなると言われています。
硝酸塩
ビーツには硝酸塩という成分が含まれていて、これは体内で一酸化窒素に変わります。
一酸化窒素には血流を促し、動脈硬化や高血圧を予防する効果があります。
ビーツが「食べる輸血」と呼ばれる理由はこれにあります。
犬や猫にビーツをあげる際の注意点
犬猫にビーツを与える際の注意点を紹介します。
味付けはNG
ビーツだけに限った話ではありませんが犬猫に手作りご飯を与える際には人間用の味付けをするのはやめましょう。
人間用の味付けは犬猫にとって多すぎる塩分・糖分・油分が含まれていることがあります。
塩分過多は心臓や腎臓に負担をかけ、糖分過多や油分過多は肥満や糖尿病につながるので注意しましょう。
また、ビーツを茹でて調理する際にも塩ゆでする必要はないので普通のお湯で茹でましょう。
アレルギーに気をつけて
どんな食べ物でもアレルギーの可能性は少なからずあるので注意しましょう。
犬猫のアレルギー症状は下痢・嘔吐・皮膚の赤みやかゆみ・目の充血などがありますが人間のアナフィラキシーショックのような大きな反応は滅多にありません。
実はアレルギー反応を示しているのに気づかずに与え続けてしまう、なんてことがないように初めてビーツを食べた後は半日~1日程度よく観察しましょう。
また、初めての食材を与える場合は少量に抑えるようにしましょう。
少しでも異常が見られたらそれ以上与えるのをやめ、症状が酷くなる場合は獣医に相談しましょう。
犬や猫にあげるビーツのレシピ
犬猫にビーツを与える際は茹でて柔らかくなったものをおやつ代わりとして与えるか
茹でて潰したものを普段与えているペットフードにトッピングしてあげると良いでしょう。
さらに茹でた魚のほぐし身なども一緒にトッピングしてあげると野菜の香りが和らぎ食いつきUPにつながるかもしれません。
また、ビーツの色素はとても色が強いので食べこぼしや犬猫の口周りについたものが原因で
おうちの壁や絨毯が赤く染まってしまう可能性もありますので犬猫がビーツを食べた後には口の周りを拭いてあげましょう。
【まとめ】犬猫はビーツを食べても大丈夫
犬猫はビーツを食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
- 生で食べても大丈夫ですが加熱することによってシュウ酸を減らせます
- 食物繊維・カリウムなど過剰摂取が危険なものがあるので食べ過ぎには注意
- 人間用の味付けはNG
今回はビーツについて紹介しました。
なかなか手に入る機会が無い野菜かとは思いますが手に入った際はぜひ愛犬や愛猫と一緒に楽しんでみてください。