カリン(花梨)について
カリンはその甘い香りにのどの炎症を抑え、咳を鎮める作用がある事が知られている果実で、日本では古くから民間で利用されてきました。
カリンはのど飴や、カリン酒などの加工品で親しまれており、生のカリンをスーパーなどで目にすることは少ないかもしれません。
しかし庭にカリンの木が植わっているご家庭や、毎年カリン酒やカリンのはちみつ漬けを作るために購入したりと生のカリンを扱うご家庭もあるのではないでしょうか。
犬猫はカリン(花梨)食べてはいけません
カリンは種子及び未熟果に天然の有害物質が含まれるため、未熟な果肉や種は犬猫が食べてはいけない注意すべき食材です。
果肉が硬く渋みが強い生食には向かない果物なので犬猫に生のカリンを食べさせようと考える方は少ないと思いますが、庭や散歩コースにカリンの木が生えていて誤食してしまう可能性はゼロではありません。
カリンを犬猫が食べてはいけない理由や注意点について解説します。
バラ科植物に含まれるアミグダリンに要注意!
カリンはバラ科植物であり、このバラ科植物の種子や未熟果には『アミグダリン』や『プルナシン』という青酸を含む天然の有害物質(総称:シアン化合物)が多く含まれるといわれています。
これについては、同じバラ科植物であるビワ、アンズ、ウメ、モモ、スモモ、サクランボなどの種子、未熟果を食べる事で健康を害する場合があるとして、農林水産省から注意喚起がされています。
上記で解説したようにカリンの実は硬く渋いため人間で生食するケースが考えにくいため、カリンの名前こそ掲載文に出てきませんが、本文にはバラ科植物への注意書きがしっかりとされています。
基本的にバラ科植物の果実は熟している果肉は安全に食べられるとされ、カリンも黄色く熟している果肉には有害物質はごくわずかだと考えられますが、あえて食べさせる必要はありません。
カリンは犬猫が食べてはいけない食材として認識しておくと安全でしょう。
アミグダリンで引き起こす中毒書状
カリンなどのバラ科植物の種子、未熟果に含まれるアミグダリン等の摂取は、体内で毒性の強いシアン化合物に変わり、様々中毒症状を引き起こすと言われています。
主な症状は下記の通りです。
- 嘔吐
- 下痢
- 痙攣
- めまい(ふらつき)
- 呼吸困難
これらの症状は摂取してから30分~3時間程度で現れることが多いと言われています。
上記以外にも、カリンの誤食後に呼吸が荒い様子や立てない・歩けない・意識がもうろうとしているなどの様子があれば中毒症状を起こしているサインの場合があります。
カリンを食べた事が明らかである場合や、愛犬愛猫の様子がおかしいと感じたら速やかに動物病院で受診しましょう。
アミグダリンに健康効果は期待されない
インターネット上や書籍の情報では、アミグダリンをビタミンの一種、ビタミンB12と表記していたり、がんに効果があるなど健康に良いとしているものがあります。
このアミグダリンについては、現在ではビタミンである説を明確に否定されており、またアミグダリンの有効性は科学的に十分な根拠がないとされています。
むしろアミグダリンを含むアンズの種子を大量に食べた事による健康被害や死亡例が複数報告されるなど、その危険性は明確に存在します。
農林水産省では、カリンと同じバラ科植物であるビワの種子を使った食品製造者へ自主検査の実施や安全な食品を提供するように指導を行っているとし、規制された数値を超えない食品であれば適量を安全に食べられるとしています。
しかしこれらはあくまで人間に対する内容であり、当サイトでは有効性が不透明な点からも人間より体の小さい犬猫に対しては摂取すべきではないと考えます。
誤食を防ごう!加工品にも要注意!
庭、散歩コースも確認しておこう
カリンの生の実はあまり身近な果物ではないかもしれませんが、犬猫が食べてはいけない食材として知識を持つことで愛犬愛猫の健康維持に役立ちます。
カリンは10~11月頃の秋が旬であり収穫時期のため、夏ごろには木に未熟な実がつき始めます。
自宅にカリンの木が生えている場合には、犬猫が落ちている実をおもちゃにしたり、誤ってかじってしまわないように念のため落果は片づけておくといいでしょう。
熟した果肉に有害物質はあまり含まれないと言われていますが、種に関しては常に注意が必要です。
犬の散歩コースにカリンが植わっている場合もあるので、落ちている実を誤って口にしないように注意を払う事も忘れないようにしましょう。
犬猫にカリン(花梨)の加工品を与えるのもNG!
カリンは喉の炎症や咳の鎮静効果の他、カロテノイド・ビタミンC・カリウムの含有もあり、高血圧の予防効果などの健康効果が期待され様々な形で加工食品にされています。
カリンなどのバラ科植物に含まれる有毒物質は、アルコールや塩、糖などで加工することで低減することが報告されており、そのためカリン酒やカリンのはちみつ漬けは人間が安心して摂取できます。
ただし有害物質が低減しても、カリン以外のアルコールや塩分、糖分が犬猫に健康被害を及ぼします。
飴玉やそのほかのカリンの加工食品についても同様であるため、人間用に加工した商品は犬猫に与えない、誤食が無いように保管場所にも気をつけましょう。
カリン(花梨)と同じ?マルメロについて
カリンと酷似した果物で、マルメロがあります。
マルメロは西洋カリンとも呼ばれ、一部地域ではマルメロの事もカリンと呼んでいることがあります。
皮や果肉が鮮やかな黄色で、縦長な楕円形であるカリンよりも丸く洋ナシのような形状をしています。
見た目や形状に多少の違いはありますが、芳醇な香りや喉の炎症を抑える効果などはほとんどカリンとほぼ変わりありません。
マルメロもカリンと同様に同じバラ科植物ですので、犬猫には与えないようにしましょう。
まとめ
カリンはバラ科植物で、未熟果や種子に体内で毒性の強いシアン化合物に変わるアミグダリンなどが含まれており、人間と同様に犬猫も中毒症状を引き起こす危険性があるため、食べてはいけない食材です。
熟した果肉は有害物質がごくわずかになると言われていますが、カリンの実は硬く渋みもあるためそもそも生食にむかず、食べるためにはアルコールや塩、糖などで加工が必要となります。
人用に加工された食品は犬猫にとっては健康被害を及ぼすリスクがあるため、どのような形でもカリンは犬猫に与えるべきではありません。
カリンの木が庭や散歩コースに生えている場合には、犬猫を木に近づけない、落果は片づけておくなどで誤食を防ぎましょう。