菜の花について
晩冬~初春に市場に出回る「菜の花」。スーパーなどで見かけるものの多くは食用に品種改良された菜花(なばな)という品種です。
別名、花菜(はなな)とも呼ばれており旬は市場に出回る1月~3月です。
からし和え・天ぷら・味噌汁など幅広い料理に使用されます。
犬や猫は菜の花を食べても大丈夫!
犬や猫は菜の花を食べても大丈夫です。しかし菜の花は犬猫にとって少し刺激の強い植物です。
与える量や与え方には注意が必要なので解説していきたいと思います。
甲状腺の機能が低下している場合は与えない
甲状腺に問題のある犬猫に菜の花を与えるのはやめましょう。
菜の花のようなアブラナ科の野菜には甲状腺ホルモンの分泌を阻害するゴイトロゲン(グルコシノレート)という成分が含まれています。
甲状腺ホルモンが欠乏すると運動機能が低下したり無気力になってしまう原因となります。
健康な犬猫の場合は多量の菜の花を与え続けない限りそれほど心配はありませんが、すでに甲状腺の機能が低下している犬猫には与えない方がいいでしょう。
猫草の代わりになる?
動画投稿サイトに猫が生の菜の花をむしゃむしゃと食べている動画がありました。
肉食動物の猫が植物を好んで食べるとは少し驚きですが、猫で植物といえば「猫草」が思い浮かびますよね。
猫はなぜ猫草を食べるの?
猫は毛づくろいをするときに毛を飲み込んでしまいます。その毛玉を上手に吐き出すのが目的で胃を刺激するために猫は自ら猫草を食べるのでは無いかと言われています。
また、植物を食べることによってビタミンやミネラルなどの栄養素を補給しようとしているという説もあります。
猫草には否定的な意見もある
愛猫がいる方の中には猫草を与えている方もいれば、「わざわざ猫草を食べさせて吐かせる必要はない」など猫草に否定的な意見を持つ方もいらっしゃいます。
猫草の効果や猫が食べる理由についてはまだはっきり分かっていないので一概にどちらが正しいということは言えませんので
猫草を与えるかどうかは飼い主様の判断で決める必要があります。
菜の花は猫草の代わりにならない
菜の花を猫草の代わりに与えるのはやめた方がいいです。生の菜の花には「あく」があります。
あくの正体は「シュウ酸」という成分で、シュウ酸カルシウム結石症の原因となります。シュウ酸は水溶性なので茹でることによって減らすことが出来ます。
猫だけでなく犬に菜の花を与える場合も生のまま与えるのはやめて茹でたものを与えましょう。
どのぐらいの量与えて大丈夫?
菜の花には栄養がたっぷり含まれていますが与えすぎは逆効果になってしまいます。
目安量ですが、犬に与える場合は体重1kgごとに4g程度にしておくとよいでしょう。例えば体重8kgの犬の場合は8×4=32gです。
一日あたりこのぐらいの量を守っていれば菜の花が原因で愛犬が体調を崩すことはあまりないといえます。
猫の場合、犬が肉食寄りの雑食動物なのに対し、猫は完全肉食動物です。
そのため犬よりも植物の許容量は少ないといえます。猫に菜の花を与える場合はひとつまみ程度に抑えておくとよいでしょう。
もちろん犬猫には個体差がありますので菜の花をたくさん食べても平気な子もいれば少しだけでもお腹を下してしまう子もいます。
菜の花を与える場合は愛犬・愛猫の体調や便の様子を観察しながら与えましょう。
調理法に注意!
よく葉物野菜を茹でて調理する際に、綺麗な緑色になり、軽く下味もつくという理由から塩ゆでがよく行われますが
犬猫に菜の花を与える場合は塩ゆでではなく普通の熱湯で茹でましょう。犬猫にあまり塩分を与えてしまうと心臓や腎臓に負担を与えてしまいます。
菜の花に含まれる代表的な栄養素
和種なばな 花らい・茎 生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 34kcal |
たんぱく質 | 3.6g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 2.5g |
食物繊維総量 | 4.2g |
ビタミンC | 130mg |
ビタミンE | 2.9mg |
葉酸 | 340μg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
食物繊維
菜の花には食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類に分けられます。
水溶性食物繊維
不溶性食物繊維は保水性が高く、水分を腸まで運んでくれます。水分を腸に運ぶことで便が固くなるのを防ぎ排便を助けます。
水溶性食物繊維は海藻やオクラなどのネバネバしたものに多く含まれています。
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は体内で水分を吸収することで便の体積を増やし大腸を刺激することで腸のぜん動運動を活発にします。
腸内の有害物質を掃除してくれる働きもあります。不溶性食物繊維は豆類、芋類、きのこ類などに多く含まれています。
菜の花に含まれている食物繊維
菜の花には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維どちらも含まれていますが不溶性食物繊維が主です。
食物繊維は犬猫の腸内環境を整えてくれますが犬猫は食物繊維を消化吸収することが出来ません。
食物繊維は主に植物から摂取できるものなので肉食動物の猫や雑食動物の犬は食物繊維を消化する酵素を持っていないのです。
なので与えすぎると消化不良や下痢の原因になるので気をつけましょう。
ビタミンC・ビタミンE
ビタミンCとビタミンEにはともに抗酸化作用があり、老化や激しい運動による酸化ストレスの治療・予防や細胞の酸化を進める「活性酸素」に対抗するビタミンです。
ビタミンEは活性酸素などの物質による細胞の酸化を防いだ後、「ビタミンEラジカル」という悪い成分に変わってしまいます。
このビタミンEラジカルを正常なビタミンEに戻すのがビタミンCです。
こうしてビタミンEとビタミンCは相互作用で体を酸化(老化)から守ってくれているのです。
葉酸
葉酸は別名ビタミンB9と呼ばれ、ビタミンB12とともに赤血球合成に大きな役割を担っています。
また、葉酸はDNAを合成するためにも重要な栄養素で、妊娠中の犬猫は必要量が増加します。
犬や猫にあげる菜の花のレシピ
犬猫に菜の花を与える場合は茹でたものをそのまま与えるか普段与えているペットフードにトッピングもしくは
下記のような雑炊レシピに混ぜて与えてあげるのもよいでしょう。
雑炊のとろみと卵で一体感があり食べやすく仕上がっています。
【まとめ】犬猫は菜の花を食べても大丈夫
犬猫は菜の花を食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
- シュウ酸などの心配があるので茹でたものを与える
- 甲状腺の機能が低下している犬猫は食べない方がいい
- 与える量に注意
今回は菜の花について紹介しました。
紹介した注意点を守って手作りレシピに加えてみてください。