犬猫にうには食べさせない方がいい!
ヒトデやナマコの仲間である「うに」
軍艦巻きやうに丼、パスタなどの料理で食べたりと海の幸の中でもごちそう感・高級感の強い食材ですよね。
魚介類は犬猫が食べてもいいもの・食べてはいけないものと様々ですのでうにはどうなのか気になるところですが、うには犬猫にあまりたべさせない方がいい食材です。
本記事では
- 生うにと塩うにの違い
- 犬猫にうにを食べさせないほうがいい理由
- うにを誤食してしまった場合の対処方
などをお話していきます。
「生うに」・「塩うに(粒うに・練りうに)」の違い
まず始めに「生うに」・「塩うに(粒うに・練りうに)」の違いについてお話します。
- 生うに:水揚げ後、殻から取り出された状態で最低限の加工しかされていないもの
- 塩うに:生うにに塩を振り、水分を飛ばしながら熟成させたもの
塩うにの内、粒が残っているものが「粒うに」、ペースト状になっているものが「練りうに」です。
生うには塩が使われていないので、塩分は意外と低くなっています。
犬猫にうにを食べさせない方がいい理由・注意点
うに100gあたりの栄養素の一部
コレステロール | リン | 食塩相当量 | |
---|---|---|---|
生うに | 290mg | 390mg | 0.6g |
粒うに | 280mg | 310mg | 8.4g |
練りうに | 250mg | 220mg | 7.1g |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
チアミナーゼによるビタミンB1破壊の可能性
うにをはじめ一部の魚介類などは「チアミナーゼ」という酵素を含んでいます。
チアミナーゼはチアミン(ビタミンB1)を破壊してしまいます。
ビタミンB1は神経系の機能を正常に保つために欠かすことの出来ない栄養素であり、破壊されるとビタミンB1欠乏症になる恐れがあります。
ビタミンB1欠乏症になると、
- 食欲低下
- 下痢・嘔吐
- 疲労感
- 筋力低下
- よだれを垂らす
- 脚気を発症する
- 歩行障害・視力障害
などの症状が現れ、深刻な場合は死に至る可能性も。
ちなみにチアミナーゼは熱に弱いので、加熱されたうにのチアミナーゼは死滅します。
参考:ペット栄養学会誌「禁忌食(その4)-魚介類(チアミナーゼ)」
腸炎ビブリオによる食中毒の可能性
うには腸炎ビブリオという菌を持っている場合があります。
海水や海底の泥に存在する菌で、魚介類に付着し運ばれて来ます。
感染すると
- 激しい腹痛
- 下痢・嘔吐
などの症状が現れてしまいます。
腸炎ビブリオは温度が15度を超え、塩分が2~5%の状況ですと特に短時間で急激に増殖します。
真水では生きていけないので魚などであれば真水で丁寧に洗うことで対処できますが、うには真水で洗うと溶けてしまうのでその対処は出来ません。
チアミナーゼと同様に十分な加熱をすることで菌は死滅します。
リンが多いのでシニアや腎臓病の犬猫には危険
うににはミネラルの一種リンが多く含まれています。
リンはカルシウムと共に骨や歯の主成分となります。健康な犬猫が適量摂取する分には身体に良い栄養素です。
しかし、加齢や腎臓病などを患っている犬猫は余分なリンを尿で排出することがうまくできず、血液中にリンが蓄積されていってしまいます。
リンが体内に蓄積され続けると慢性腎臓病が悪化するリスクが高まってしまいます。
また、リンとカルシウムのバランスが崩れると骨や歯が弱くなることにも繋がります。
コレステロールによる危険
うにはコレステロール値が高い食材です。
適量であればエネルギー源となるものですが、コレステロールを摂取しすぎて血中濃度が高くなると動脈硬化や脳梗塞を引き起こす可能性があります。
塩分による腎臓病や高血圧
加工された塩うにには100gあたり7.1g以上の食塩相当量が含まれています。
体重5kgの犬猫の塩分摂取量の目安は犬の場合は0.18g、猫の場合は0.33g。
ほんの5g程度の塩うにでも約0.3gの食塩相当量があるので、簡単に摂取量目安を上回ってしまいます。
塩分の過剰摂取は犬猫の腎臓に負担を掛けますし、
- 高血圧
- 糖尿病
- 腎臓病
- 心臓病
などの危険な病気を患ってしまう可能性があります。
加熱すれ食べても大丈夫?
「チアミナーゼ」と「腸炎ビブリオ」は共にしっかりと加熱処理を行えば死滅するとお伝えしました。
しかし、加熱処理をしたとしてもリン・コレステロール・塩分の高さは残っています。
加熱されたうにが犬猫の好みという訳でもなく、特別な栄養を持っていることもないので敢えて食べさせる必要はないと思います。
加熱されているうにであれば普通のうにより誤食した時の心配が少ないとは言えます。
うににアニサキスは居る?
海の魚には寄生虫アニサキスが居ることがあるので同じ海の生き物であるうにはどうなのか気になりますが、うににはアニサキスが居ません。
うには魚と食性が違い、昆布などの海藻類を食べているのでアニサキスが居ないそうです。
うにをもし食べてしまったら
新鮮な水を飲ませる
うにを加熱しているかどうかに関わらず、まずは新鮮な水を飲ませましょう。
口の中の塩分を薄めると同時に排尿を促し、尿と共に塩分やリンが排出されることを狙います。
犬猫も身体によくないものを口にした場合は自然と水を欲しがるとは思いますが、この際に無理矢理飲ませることはないようにしましょう。
動物病院へ連絡する
加熱されていないうにを犬猫が誤食した際は、症状の有無にかかわらず動物病院へ連絡を取り指示を仰ぎましょう。
この際、
- どの程度うにを食べたのか
- 他にも何か食べたのか
- 今現在の様子
といったことが把握出来ていると診察がスムーズになります。
加熱されたうにを口にした場合は様子をよく観察し、いつもと様子が違う場合は動物病院へ連絡を取りましょう。
【まとめ】
うには犬猫に食べさせないほうがいい食材です。
- 「チアミナーゼ」によりビタミンB1欠乏症になってしまう恐れ
- 「腸炎ビブリオ」を持っていることがあり、感染すると激しい腹痛や下痢・嘔吐の恐れ
- リンが多いのでシニアや腎臓の弱っている犬猫にはさらに危険
- 高コレステロールなので動脈硬化や脳梗塞を引き起こす可能性
- 加工された塩うには塩分量が多く、腎臓病や心臓病をはじめ様々な病気を患ってしまう可能性
などがその理由です。
「チアミナーゼ」と「腸炎ビブリオ」は加熱することで対処が可能ですが、他のリスクは残ったままで大きなメリットもないので敢えて食べさせる必要はないと思います。
誤ってうにを口にしてしまった際は、新鮮な水を飲ませ、症状の有無に関わらず動物病院へ連絡を取りましょう。
加熱されたうにの場合は様子をよく観察し、異常が見られた場合は動物病院へ連絡を。