犬猫の保冷剤の誤飲に注意!古いものには致死率の高い猛毒成分が含まれているかも

夏の暑い時期の買い物の際に、生ものの鮮度を保ったりアイスが溶けないようにするためなどに役立っている保冷剤。

最近では冷感グッズにも使用されており、熱中症対策などにも活用することができます。

そんな保冷剤ですが、犬猫の誤飲には注意が必要です。

今回は保冷剤の成分や誤飲した際の危険性などについてご紹介したいと思います。

保冷剤に含まれる成分

保冷剤には冷凍庫に入れておいても柔らかいままのものと、水などと同じように凍るものがあります。

凍らずに柔らかいままのタイプの保冷剤には、「エチレングリコール」という成分が含まれていたことがあります。

エチレングリコール

エチレングリコールは不凍液の主成分となっている成分で、車の冷却水(クーラント)などにも使用されています。

融点が-12.6℃と低いため、凍りにくいという特徴があります。

エチレングリコールは普通希釈して使用され、水と混ぜることによってさらに融点が下がります。

誤飲の危険性

エチレングリコールを犬猫が誤飲すると中毒症状を引き起こします。

過去にはエチレングリコールによる中毒の暫定致死率が最も高かったという調査結果があるほど危険な成分です。

エチレングリコールを誤飲すると肝臓中の酵素の酸化作用によってシュウ酸を発生させます。

シュウ酸が血液中のカルシウムと結合することによって「シュウ酸カルシウム」を形成し、急性腎不全を引き起こします。

致死量は体重1kgあたりわずか1mlと言われており、ごく少量でも命に関わる可能性があります。

ちなみに猫は犬よりも影響を受けやすく、症状の進行も早いと言われています。

寒い地域の方は注意

北海道や東北地方の方は真冬の寒い時期には水道管の中の水が凍ってしまい、破裂につながる可能性があります。

そのため、蛇口の水を少し出しっぱなしにするなどして水道管の中の水が凍ってしまわないような対策が必要になる場合があります。

冬の時期に長期間家を空ける場合は「水抜き」という水道管の中の水を抜く作業が必要になります。

しかし、水を抜くのが難しい場所は不凍液を利用することもあるようなので、不凍液がおうちに常備してある方も少なくないはず。

犬猫の手が届かないような場所で管理しましょう。

現在はあまり使用されていない

かつては凍らないタイプの保冷剤に含まれていることもありましたが、犬猫や子供の誤飲事故が多発したため現在はあまり使用されていないようです。

現在主流になっている保冷剤は水と「吸水性ポリマー」を使用したものになります。

吸水性ポリマー(吸水性樹脂)

吸水性ポリマーはおむつや生理用ナプキンにも使用される白い粉状の物で、吸水力がとても優れています。

吸水性ポリマーは自重の何百倍もの水分を以下の動画のように素早く吸収することができます。

保冷剤に使用されている吸水性ポリマーは全体の約1%ほどで、98~99%は水でできています。

有毒性は無く、触れても害はありませんが食べてしまうと体内の水分を吸収してしまう可能性があるため注意が必要です。

もしも吸水性ポリマーを誤飲して体内で詰まると腸閉塞を起こし、命に関わる可能性もあります。

プロピレングリコール

最近では凍らないタイプの保冷剤や保冷枕には「プロピレングリコール」という成分が使用されていることが多くあります。

プロピレングリコールは歯磨き粉などにも食品添加物として使用されているもので、エチレングリコールのような強い毒性はありません。

しかし、猫が口にすると赤血球異常を引き起こすとされており、ペットフード安全法に基づく症例の基準ではキャットフードへの使用が禁止されています。

保冷剤の誤飲を防ぐために

犬猫の保冷剤の誤飲を防ぐために日常的に行えることをご紹介します。

タオルなどで包んで使用する

保冷剤は基本的に冷凍庫で保管するもののため、保管中の誤飲はほとんど無いかと思うので、使用中や使用後に十分注意しましょう。

夏場の移動などの熱中症対策の際は、しっかりとタオルなどに包んで噛んでしまっても中身が出にくいようにしておきましょう。

保冷剤の捨て方について

保冷剤はほとんどが水でできているので中身は水道へ流して処分した方がいいのではないかと思うかもしれません。

しかし、保冷剤を水道へ流すと水道管の中で水分を吸収して詰まってしまうかもしれません。

保冷剤は可燃ゴミとして捨てることができるので、水道へは流さずにそのまま捨てましょう。

また、自治体から特別な指示がある場合はそれに従いましょう。

誤飲してしまった際の対処法

万が一、犬猫が保冷剤や不凍液を誤飲してしまった場合は直ちに動物病院へ行きましょう

特に不凍液の誤飲は大変危険なので素早い対応が必要です。

不凍液が含まれていない保冷剤を誤飲した場合も消化管に詰まってしまう可能性があるので注意しましょう。

動物病院では胃洗浄や催吐処置などの治療を受けることができます。

【まとめ】保冷剤の誤飲は危険!

  • 古い保冷剤には「エチレングリコール」という急性腎不全を引き起こす可能性のある成分が含まれていることがある
  • エチレングリコールは車の冷却液や不凍液などにも使用されており、過去に中毒による暫定致死率が最も高かったこともある
  • 最近の保冷剤に含まれている吸水性ポリマーの誤飲は体内の水分を吸収して消化管に詰まってしまう可能性がある

今回は保冷剤を誤飲する危険性についてご紹介しました。

熱中症対策などに非常に役に立つアイテムですが、中身の誤飲には注意しましょう。

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鈴木 利奈RINA SUZUKI - PET FOOD ADVISER

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ペットレシピ.jpの記事を執筆・監修しています。

キャットフード勉強会・ドッグフード勉強会を運営している鈴木です。大好きな犬猫とペットフードについて深く学ぶため、講師を呼んで勉強会を開いています。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士2級、化粧品検定1級(コスメコンシェルジュ)等の資格を取得。

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