物を束ねる・食品の封をする・工作など様々な使用用途のある輪ゴムは日常生活でもよく見かけます。
そんな輪ゴムは犬猫が誤飲する可能性があり、命に関わる可能性もある物のひとつです。
今回は犬猫が輪ゴムを誤飲した際に起こりうる症状や対処法などについてご紹介したいと思います。
誤飲の危険性
犬猫が輪ゴムを誤飲したとしてもほとんどの場合は便と一緒に排出されるようです。
ただし、場合によっては重篤な症状を発症する可能性もあります。
閉塞の可能性
犬猫が飲み込んでしまった輪ゴムが消化器官の中をすすんでいくうちに丸まって胃や腸で詰まり、閉塞を起こす可能性があります。
閉塞の中でも「腸閉塞」は犬猫が異物を誤飲した際に最も危惧されるものの1つで、最悪の場合死に至る可能性もあります。
腸閉塞の症状
腸閉塞を起こすと以下のような症状を引き起こします。
- 嘔吐
- 元気喪失
- 食欲不振
- 便が出ない
- 激しい腹痛
さらに上記のような症状だけでなく、腸に異物が詰まったことが原因でその部分の血流が悪くなると腸が壊死し、腸壁が破れてしまう可能性があります。
そうなると大腸菌などの腸内の細菌が体内へ流れ出し、急性腹膜炎を引き起こして死に至る恐れがあります。
重篤化を防ぐには
犬猫が知らず知らずのうちに異物を誤飲していて腸閉塞を起こしている可能性もあります。
腸閉塞は発見が遅れると危険なので、初期症状で気付いてあげられるようにしましょう。
- 嘔吐を繰り返しているがなにも出ない
- 吐瀉物から便のような匂いがする
- 数日便が出ていない
- お腹が苦しそうな仕草を見せている
上記のような例が気付きやすい腸閉塞の特徴です。
当てはまる場合は、思い当たる節が無くても一度動物病院で看てもらうのが良いでしょう。
犬猫が輪ゴムを好む理由
犬猫は輪ゴムを噛んだときの弾力のある食感を好んでいると言われています。
好んで噛んでいるうちに誤って飲み込んでしまうということが多いようです。
他にも猫の場合は、輪ゴムのランダムな動きが面白くて遊んでいる間に勢いで誤飲してしまうということもあります。
猫の舌はザラザラしており、食べ物を食べやすくするために口に入れたものが出にくくなっています。
そのため、猫が飲み込む気が無くてもどんどん口の奥へ運ばれて、出すことが出来ずに飲み込んでしまうということもあるようです。
ヘアゴムにも注意
ヘアゴムを使用している方は輪ゴムだけでなく、ヘアゴムにも注意してください。
ヘアゴムには飼い主様の匂いが染みついているため通常の輪ゴムよりも犬猫が興味を示す可能性があります。
過去には、猫がヘアゴムを誤飲してしまい、そのヘアゴムに絡まっていた長い髪の毛が腸に引っかかり開腹手術によって摘出したという事例もあります。
その他の危険性
輪ゴムには誤飲以外の危険性もあります。
動物病院が報告している症例に、“輪ゴムが犬の首を何週間もかけて食い込んでいき皮下組織や筋肉まで切れていた”というものがありました。
このような症例は小さいお子様が遊び半分で犬猫に輪ゴムをかけてそのまま忘れ去られてしまったというパターンが多いようです。
拝見した症例でも、飼い主様は犬猫の毛で隠れて輪ゴムの存在には気付かず、首回りの膿がひどいという理由で来院し、原因が輪ゴムと判明したようです。
長い期間をかけて輪ゴムに締め付けられた患部は、ぱっくりと割れて本当に輪ゴムが原因なのか疑いたくなるような状態になっています。
傷の程度によっては縫合処置などの外科手術が必要になる場合もあります。
輪ゴムの誤飲を防ぐために
犬猫の輪ゴムの誤飲を防ぐために日常的に行えることをご紹介します。
保管場所に注意
輪ゴムは犬猫の手が届かないところで保管しましょう。
箱やケースに入った大量の輪ゴムを犬猫が触れられる場所で保管すると複数の輪ゴムを誤飲してしまう可能性もあります。
当然ですが食べる量が多いほど閉塞などの危険性は上がるので注意しましょう。
噛む物を用意してあげる
何かを噛むのが好きな犬猫には噛むために作られたおもちゃなどを与えてあげましょう。
シリコンなどで出来た歯ごたえの良い物を与えることによって輪ゴムを噛んでしまう可能性を減らせます。
太い輪ゴムに注意
あまりご家庭には無いかもしれませんが、輪ゴムの中には太い物もあります。
野菜や花を束ねたり、たくさんのはがきなどを束ねるために使用されることがあります。
太い輪ゴムの方が飲み込みにくいため、誤飲の可能性は細い物よりは低くなりますが、誤飲した際の危険性は上がります。
誤飲してしまった際の対処法
輪ゴムを誤飲してしまった際の対処法としては獣医師へ相談するのが一番です。
中型犬~大型犬など体の大きさにも寄りますが、通常サイズの輪ゴムを1本誤飲した程度であれば便から排出され大事になることはほとんどありません。
ただし以下のような場合はすぐに動物病院へ行きましょう。
- 猫・超小型犬・小型犬・仔犬など体が小さい個体の場合
- 大量に食べてしまった
- 太い輪ゴムをたべてしまった
- 誤飲した後の様子が明らかにおかしい
- 2~3日しても輪ゴムが排出されない
- 誤飲したのは少しだが心配
【まとめ】犬猫の輪ゴムの誤飲は危険!
犬猫が輪ゴムを誤飲すると危険な場合があります。
今回紹介したポイントをおさらいしましょう。
- 通常サイズの細い輪ゴムを1本誤飲した程度では便として排出されることがほとんど
- 消化管内で丸まって胃や腸に詰まると閉塞の恐れがある
- たくさん誤飲したり太い輪ゴムを誤飲すると閉塞の可能性が上がるので注意
輪ゴムは一般的な家庭にもよくある物なので犬猫の誤飲には十分注意しましょう。