犬や猫にコーラを飲ませないで!
コーラは世界中で愛されるロングセラー商品であり、日本でも最も飲まれている炭酸飲料といっても過言ではないでしょう。
愛犬愛猫にコーラを飲ませても大丈夫と思う方はあまりいないかと思いますが、身近な存在であるコーラなのでちょっとしたきっかけで舐めたり誤飲してしまうことはあるかもしれません。
なぜコーラが犬や猫にとって危険な飲み物なのかを解説します。
コーラが危険なのは糖分だけ?
犬猫にコーラを飲ませてはいけない理由を聞かれたら、一番に思いつくのは使用されている糖分の多さではないでしょうか。
日本コカ・コーラ株式会社の公式HPには糖分について以下の回答を掲載しています。
Q.「コカ・コーラ」各製品に糖分はどのくらい含まれていますか?
A.製品によって異なります。代表的なものは以下の通りです。糖分の量は、『炭水化物(糖質+食物繊維)』の数値でご案内しています。
「コカ・コーラ」(100mlあたり): 11.3g
「コカ・コーラ ゼロ」(100mlあたり): 0g
「コカ・コーラ ゼロカフェイン」(100mlあたり): 0g
「コカ・コーラ プラス」(100mlあたり):5.2g※1※1 内、糖質0g、難消化性デキストリン(食物繊維として)5gとなります。
上記のなかで一般的なコカ・コーラを確認すると、100mlに11.3gの糖分が含まれています。
基本的に日常の食事で砂糖など糖分の添加は必要ない犬や猫にとって、少量の摂取であっても過剰な糖分摂取となってしまいます。
では、糖分を含まないシュガーレスのコーラであれば飲ませても大丈夫なのでしょうか?
コーラ含まれるカフェイン
コーラは様々なメーカーがそれぞれのレシピで作られたものが販売されており、中でも一番有名なコカ・コーラのレシピはトップシークレットであるといわれています。
しかし香料などの詳細な記載はなくても、使われている原材料名は公開されています。
日本コカ・コーラ株式会社の『コカ・コーラ』『コカ・コーラゼロ』とサントリーホールディングス株式会社の『ペプシコーラ』の原材料を確認してみましょう。
日本コカ・コーラ株式会社
『コカ・コーラ』の原材料名
・糖類(果糖ぶどう糖液糖、砂糖)
・炭酸
・カラメル色素
・酸味料
・香料
・カフェイン
『コカ・コーラ ゼロ』の原材料名
- 炭酸
- カラメル色素
- 酸味料
- 甘味料(スクラロース、アセスルファムK)
- 香料
- カフェイン
サントリーホールディングス株式会社
『ペプシコーラ』の原材料名
- 糖類(果糖ぶどう糖液糖(国内製造)砂糖)
- 炭酸
- 香料
- 酸味料
- カラメル色素
- カフェイン
カフェインは少量であっても注意が必要
上記で確認できるように、2社ともに原材料名にカフェインの記載があり、シュガーレスのコカ・コーラ製品にも原材料にカフェインが含まれています。
これらのことから、市販されている一般的なコーラには糖分の含有の有無に関わらずカフェインが含まれているものが多いという事がわかります。
カフェインは人間にとって眠気の解消や集中力をあげるなどの効果が期待されますが、犬猫はカフェインの摂取によって過度な興奮や動機、痙攣などの中毒症状を起こすことが知られています。
サントリーホールディングス株式会社の『ペプシコーラ』については公式HPを確認すると、カフェインの含有量の記載があり、そちらにはカフェイン(100mlあたり)約10mgとされています。
犬猫がカフェインによって中毒症状を発症するのは、犬猫の体重1kgあたり20mgほどといわれています。
そのため、上記で示したペプシコーラであれば体重1kgあたり200mlを摂取するとカフェイン中毒発症の可能性が非常に高まると考えられます。
数滴舐めてしまった程度で重篤なカフェイン中毒が起こる可能性は低いと予想されますが、症状の出方は個体差によるところが大きく一概に少量の摂取であれば大丈夫とは言い切れません。
少量であっても摂取させないという意識を持つことが大切でしょう。
引用:ペプシコーラ490mlペット(サントリーホールディングス株式会社)
クラフトコーラは犬猫にとって危険がいっぱい
昨今では、砂糖や人工甘味料などの添加物を避けたヘルシーなものを摂取したいという意識の高まりにより、スパイスや柑橘類を使用して手作りされるクラフトコーラが注目を集めています。
砂糖や添加物を使用していないのなら犬猫にとっても健康的な飲み物では?と考えてしまいそうですが、こちらも使用されている原料に危険が潜んでいるかもしれません。
犬猫に柑橘類はNG!
クラフトコーラには明確な定義がないようで、スパイスや柑橘類を自由に組み合わせて作られているようです。
主に使われる材料としてあがる柑橘類は、皮に犬猫が中毒症状を引き起こす可能性が高い『リモネン』や『シトロネラール』などの成分が含まれています。
これらの成分によって、過剰な流涎や運動失調、筋肉の震えなどの中毒症状が現れる場合があります。
コーラナッツや刺激の強いスパイスに注意
コーラは1980年代に薬剤師がコカノキ科コカ属のコカの葉(コカイン)やアオイ科コラノキ属の種子であるコーラナッツを使用して作られた薬の役割をする飲み物として誕生したのが始まりといわれています。
コーラナッツにはカフェインやテオブロミンが含まれており、犬や猫にとっては危険な存在です。
現在市販されている一般的なコーラには法律で禁止されているコカの葉はもちろん使用されていませんが、価格の高騰などの理由からコーラナッツの抽出物も含まれていないものがほとんどといわれています。
しかしクラフトコーラのように手作りされたコーラや、オーガニックコーラとして販売されている物にはスパイスの一部としてコーラナッツを使用しているものがあります。
テオブロミンは犬猫の体重、体格や個体差により差がありますが、犬での致死量はおおよそ100〜200mg/kg、猫での致死量は80~150mg/kg前後であるといわれています。
クラフトコーラに明確なレシピや定義はなく、使用されるコーラナッツの量は明確ではないのでその含有量ははっきりとは言えません。
コーラナッツに限らずペッパー類やトウガラシなど刺激の強いスパイスが含まれている可能性があります。
人間にとって健康的といわれるクラフトコーラでも犬猫にとっては危険である可能性が高い事は覚えておきましょう。
犬や猫がコーラを飲んでしまったら
一般的な市販のコーラの場合
前述の通り、市販されている一般的なコーラにはカフェインが含まれていることが多くあります。
コーラを舐めたり飲んでしまった場合、たとえ少量であってもしっかりと注意観察しましょう。
落ち着きがなく過剰に興奮している様子があったり、動悸や震え、痙攣などがみられるようであればカフェイン中毒を疑い、動物病院へ相談し医師の指示に従いましょう。
クラフトコーラの場合
クラフトコーラにはカフェインの他にもテオブロミンという危険な成分が含まれている可能性があります。
誤飲が分かった場合、犬や猫にとって危険な食材の使用がないか原材料を確認しましょう。
犬猫にとって危険な食材の使用がされていたら、症状の有無に関係なくすぐに動物病院へ相談し、獣医師の指示に従いましょう。
診察の際にはクラフトコーラの原料や、誤飲した量が分かればそれらを伝える事で診察のヒントになるかもしれません。
まとめ
コーラは犬や猫にとって不必要な多量の糖分の含有や、中毒症状を引き起こす可能性があるカフェインの含有があるため、犬や猫に飲ませてはいけない飲み物です。
また、クラフトコーラやオーガニックコーラには犬猫にとって危険なカフェインやテオブロミンが含まれるコーラナッツの使用がされている場合があります。
柑橘類や刺激の強いスパイスの使用もありますので、誤飲には十分に注意しましょう。
コーラは各メーカーから様々なレシピで作られており、商品の原材料表示だけでは使用されている全ての原料を知る事はできません。
犬猫にはどんなコーラであっても飲ませてはいけないとしっかりと念頭に置いておきましょう。