主にデザート作りに使用されるクリームチーズ。
サラダやお酒のおつまみなどに使用されることもあり、人気の食材です。
そんなクリームチーズは犬猫が食べても大丈夫なのでしょうか?
犬や猫はクリームチーズを食べても大丈夫だが・・・
犬や猫はクリームチーズを食べても大丈夫です。
しかしいくつか注意点や条件はあり、守らないと犬猫の健康に悪影響を与える可能性があります。
普通のチーズとはなにが違う?
チーズとは原材料となる乳に含まれているたんぱく質を乳酸菌や酵素の働きで固めたものです。
さらにチーズは大きく分けると「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2種類に分けられます。
ナチュラルチーズ
ナチュラルチーズは乳に乳酸菌や酵素を作用させて出来た塊から水分を取り除いたものです。
ナチュラルチーズの中にはゴーダチーズやチェダーチーズなどの熟成させるタイプや作りたての風味を楽しむフレッシュタイプなどがあります。
クリームチーズはフレッシュタイプに含まれるもので他にはモッツァレラチーズやカッテージチーズがこれに含まれます。
プロセスチーズ
プロセスチーズとはナチュラルチーズを一度加熱融解し、再度冷やし固めたもののことを言います。
長方形・扇形・キャンディ型などに成形されて市販されているものがこのプロセスチーズになります。
クリームチーズのプロセスチーズも販売されています。
クリームチーズは塩分量が少ない
熟成するチーズは製造過程で塩が加えられるため、クリームチーズをはじめとするフレッシュタイプのチーズは他のチーズに比べて塩分量が少ないという特徴があります。
食品成分表八訂によると可食部100gあたりのナトリウム含有量はゴーダチーズが800mgなのに対してクリームチーズは260mgと三倍以上の差があります。
フレッシュタイプのクリームチーズ含まれている塩分は原材料の乳に含まれている塩分です。
犬猫にクリームチーズを与える際の注意点
塩分量が少ないとはいえ注意は必要
前述したとおりクリームチーズは他のチーズに比べると塩分量が少ないです。
とはいえ他の食べ物と比較すると決して塩分量は少ないとは言えません。
以下は色々な食材とクリームチーズの100gあたりのナトリウム含有量を比較した表です。
食材 | ナトリウム含有量 |
---|---|
クリームチーズ | 260mg |
さつまいも | 23mg |
かぼちゃ | 1mg |
小松菜 | 15mg |
しいたけ | 1mg |
サーモン | 43mg |
鶏胸肉 | 34mg |
こうして比較してみるとクリームチーズの塩分量の多さがわかるかと思います。
塩分の摂りすぎは心臓や腎臓に負担をかけてしまう可能性があるので注意しましょう。
脂質にも注意
クリームチーズはチーズの一種なので脂質を多く含みます。
脂質は炭水化物やたんぱく質に比べて2倍以上エネルギーを含むためエネルギー源になる一方でカロリーオーバーには注意が必要です。
脂質を過剰に摂取すると肥満・脂肪肝・膵炎・高脂血症などの可能性があるため注意しましょう。
クリームチーズに含まれる代表的な栄養素
ナチュラルチーズ クリーム 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 313kcal |
たんぱく質 | 7.6g |
脂質 | 30.1g |
炭水化物 | 2.4g |
ナトリウム | 260mg |
カルシウム | 70mg |
ビタミンA | 250μg |
ビタミンE | 1.2mg |
ビタミンB2 | 0.22mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
ナトリウム
ナトリウムは体内で以下のような働きをします。
- 水分バランスの調整
- 筋肉の収縮
- 神経の伝達
- 栄養素の吸収・輸送
ナトリウムの過剰摂取は心臓病・腎臓病の他にもストルバイト結石などのリスクがありますが不足すると「低ナトリウム血症」の恐れがあります。
食欲不振・嘔吐・意識朦朧・発作などの症状が現れ昏睡状態に陥ってしまう可能性もあります。
総合栄養食のペットフードを与えているとナトリウム不足になることはほとんどありませんが水分を大量に摂取したりするとナトリウム不足になることもあるようなので注意しましょう。
犬猫はナトリウム不足になると自分の脚の裏を舐める・おしっこを舐める・排尿後の陰部を舐めるなどの行動をとることがあります。
ビタミンA
食品成分表8訂の分類によるとビタミンAは「レチノール」と「β-カロテン当量」という2種類に分類されています。
レチノールはビタミンAの別名でレバー・魚・たまごなどに多く含まれています。
レチノール=ビタミンAと考えていただいて大丈夫かと思います。
一方、野菜などに多く含まれているβ-カロテンはそのままではビタミンAとは別物ですが体内に入ると酵素の働きによってビタミンAへと変換されます。
しかし、β-カロテンをビタミンAへ変換する酵素を持っているのは人間と犬だけで猫は持っていません。
動物性の食品にはβ-カロテンがほとんど含まれないため肉食動物の猫はβ-カロテンを摂取する機会があまりありません。
獲物とする小動物のレバーにはビタミンAが豊富に含まれているためわざわざ体内生成するのは代謝的にも非効率だったと考えられます。
犬や猫へのクリームチーズの与え方
犬が1日に必要とするナトリウムの量は体重1kgあたり50mg、猫の場合は700mg~1200mgと言われています。
もちろん普段与えているペットフードにもナトリウムが含まれているのでこの数値を超えないように与えるのが重要です。
そのままおやつ代わりに与えるのもいいですし食いつきが悪いときにペットフードにトッピングしてあげるのもいいでしょう。
また、必要なナトリウム量は体重や年齢によっても変化するため注意が必要です。
乳糖不耐症は大丈夫?
人間で乳製品のものを食べたり飲んだりするとお腹を壊したり下痢をしてしまう「乳糖不耐症」の方がいますがこれは犬猫にもあります。
犬猫はミルクが好きなイメージがあり実際に与えている方もいるかと思います。
しかし犬猫は牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解するラクターゼという酵素があまり多くありません。
ラクターゼの量は子犬や子猫のときは多く、大人になっていくにつれて減少するようです。
チーズに含まれる乳糖は牛乳に比べると20~40%ほど減少するようですが念のためはじめて与える場合は少量にしましょう。
愛犬・愛猫が下痢などした場合は乳製品はそれ以上与えない方がいいかもしれません。
【まとめ】犬猫はクリームチーズを食べても大丈夫
犬猫はクリームチーズを食べても大丈夫ですが注意点があります。おさらいしましょう。
- 他のチーズに比べ塩分量は少ないものの塩分過多には注意
- 脂質も多めなので注意
- 乳糖不耐症の可能性もあるので注意
今回は犬や猫にクリームチーズを与える注意点を解説しました。
大量に与えずに少しだけ与えてあげるようにしましょう。