脱脂粉乳(スキムミルク)は犬や猫に与えても大丈夫?乳糖不耐症やカロリー過剰に注意

脱脂粉乳(スキムミルク)とは

脱脂粉乳は生乳や牛乳から脂肪分を取り除き、乾燥させた粉末で、英語由来でスキムミルクとも呼ばれています。

カルシウムやたんぱく質が多い、脂肪分を取り除いているので牛乳と比べてカロリーが低いことが特徴です。

全粉乳(ミルクパウダー)やバターミルクパウダーは別物

脱脂粉乳と類似した食品に全乳粉やバターミルクパウダーがあります。

このふたつは商品として脱脂粉乳に似ていますが、製造方法や栄養成分が異なるので注意が必要です。

食品名 栄養成分
脱脂粉乳(スキムミルク)エネルギー 354㎉
たんぱく質 34.0g
脂質 1.0g
炭水化物 53.3g
カルシウム 1100㎎
食塩相当量 1.4g
全乳粉(ミルクパウダー)エネルギー 490㎉
たんぱく質 25.5g
脂質 26.2g
炭水化物 39.3g
カルシウム 890㎎
食塩相当量 1.1g
バターミルクパウダーエネルギー 390㎉
たんぱく質 31.0g
脂質 7.3g
炭水化物 50.1g
カルシウム 960㎎
食塩相当量 1.2g

栄養成分を比べてみると、最もカロリーが低く、また最も多くカルシウムが含まれているのが脱脂粉乳であることがわかります。

全乳粉(ミルクパウダー)

全乳粉は生乳や牛乳を乾燥させたものなので脂肪分が含まれています

そのため、脱脂粉乳に比べてカロリーが高く脂質も多くなっています。

バターミルクパウダー

バターミルクパウダーは、バターの製造工程でバターが分離したあとに残る液体(バターミルク)を乾燥させたものです。

脂肪分の多くはバターに含まれますが、脱脂粉乳ほど脂肪分が取り除かれるわけではないので、カロリーや脂質は脱脂粉乳に比べて多くなります

犬や猫に脱脂粉乳(スキムミルク)を与えても大丈夫?

脱脂粉乳は犬や猫が摂っても大丈夫な食品です。

人間用の食品原料として幅広く用いられている脱脂粉乳ですが、犬や猫のフードやおやつの原材料として使用されることもあります。

ただし、脱脂粉乳を犬や猫に与える際にはいくつか注意点があります。

脱脂粉乳(スキムミルク)を与える際の注意点

人間用の脱脂粉乳による乳糖不耐症に注意

人間用の脱脂粉乳には、犬や猫が下痢や消化不良を起こす原因となる乳糖が含まれています。

乳糖は牛乳に含まれる成分で、牛乳を犬猫に与えない方がいいといわれるのはこの乳糖によって起こる「乳糖不耐症」が理由です。

犬や猫の多くは乳糖を分解する酵素の分泌が非常に少ないと考えられています。

犬や猫には乳糖を調整して作られた犬猫専用の脱脂粉乳や、乳糖の含有が少ないヤギミルクからつくられた脱脂粉乳を用意するといいでしょう。

低脂質でも与えすぎは肥満の原因に

脱脂粉乳は脂肪分を取り除いているので、牛乳や全粉乳などに比べればカロリーは低いのですが、食品自体のカロリーは高いので注意が必要です。

上記の表でも記載しましたが、人間用の脱脂粉乳の100gあたりのカロリーは約354㎉。

同じ100gあたりで、牛もも肉で212㎉、豚もも肉で138㎉、鶏むね肉で113㎉と、犬や猫の主食となる肉類と比較しても高カロリーであることがわかります。

脱脂粉乳を一日に100g以上与える事は考えにくいですが、犬や猫が好むからと毎日のように多量に与えてしまうとあっという間にカロリーオーバーとなってしまいます

特に肥満で体重管理が必要な犬や猫にはあまりおすすめはできません。

ただし食欲不振などがあれば、少量でも十分なカロリーを摂取できるので、愛犬愛猫の状況に合わせて上手に脱脂粉乳を活用しましょう。

アレルギーに要注意

牛乳のアレルギーは、主に牛乳タンパクの中のカゼインが原因であるといわれています。

このカゼインは脱脂粉乳にも含まれているので、乳アレルギーがある犬や猫には与えてはいけません

アレルギー症状は乳糖不耐症のような下痢や消化不良だけではなく、皮膚の発疹や食欲減少などもあります。

摂取後に異常が見られればすぐに動物病院を受診しましょう。

牛肉アレルギーを持つ場合にも与えないように注意してくださいね。

脱脂粉乳(スキムミルク)を与えるメリット

高タンパク高カルシウム低脂肪

脱脂粉乳は摂取量が過剰にならなければ、脂肪分は少なく、たんぱく質やカルシウムは豊富な優れた食品であるといえます。

食品名 栄養成分
脱脂粉乳(スキムミルク)エネルギー 354㎉
たんぱく質 34.0g
脂質 1.0g
炭水化物 53.3g
カルシウム 1100㎎
食塩相当量 1.4g
スキムミルク液(脱脂粉乳10g+水90g)エネルギー 35㎉
たんぱく質 3.4g
脂質 0.1g
炭水化物 5.3g
カルシウム 110㎎
食塩相当量 0.1g
牛乳エネルギー 61㎉
たんぱく質 3.3g
脂質 3.8g
炭水化物 4.8g
カルシウム 110㎎
食塩相当量 0.1g

例えば人間用のものですが、脱脂粉乳を水で溶かして作ったスキムミルク液のカロリーは約35㎉で脂質は0.1gであり、同量の牛乳に比べてたんぱく質やカルシウム量はほぼ同じなのに脂質やカロリーが明らかに低いことがわかります。

脂質をカットしながらも、たんぱく質やカルシウムはしっかり摂らせたいと考える場合には便利な食品です。

主要必須ミネラルも豊富!

脱脂粉乳といえばカルシウムが取り上げられますが、他にもカリウム、リン、マグネシウムなどの主要必須ミネラルが十分に含まれています

ミネラルは生体組織の構成や生理機能の調節に使われる生命維持に大切な栄養素ですが、ミネラルには多く摂りすぎてしまうと他の栄養素の吸収を阻害してしまう事もあるので、その面でも脱脂粉乳の過剰摂取には注意しましょう。

まとめ

脱脂粉乳は牛乳の脂肪分を取り除いて乾燥させたもので、脂質が非常に少なく、カルシウムやたんぱく質が豊富な食品です。

脱脂粉乳は基本的に犬や猫に与えても大丈夫な食品ですが、人間用の脱脂粉乳には乳糖が含まれており、人間用の脱脂粉乳を犬や猫に与えると乳糖不耐症を引き起こしてしまう可能性があります。

犬や猫に脱脂粉乳を与える場合には、犬猫用のものか乳糖の含有が少ないヤギミルクからつくられた脱脂粉乳を用意するといいでしょう。

栄養価も高く、保存性も良いので手作りごはんやおやつなどに活用しやすい食品です。過剰摂取には十分に注意しながら、上手に活用できるといいですね。

参考:食品データベース(文部科学省)

参考:脱脂粉乳とはどういうものですか?(日本乳業協会)

参考:牛乳を原料とする粉乳およびその分画物中元素濃度の特徴

  • 犬猫はヤギミルクを飲んでも大丈夫!牛乳より低リスク?水を飲まない子の水分補給にも
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スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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