犬猫の殺鼠剤の誤飲に注意!血液凝固を阻害する成分が含まれており自然出血の可能性も

飲食店だけでなく、個人宅でもネズミの被害に悩まされている方はいらっしゃるのではないでしょうか。

都会でもネズミの増殖が問題となっていることがあります。

そんな問題を解決するために殺鼠剤は役に立ちますが、犬猫が誤飲すると大変危険です。

今回は犬猫が殺鼠剤を誤飲した際の危険性や対策方法についてご紹介したいと思います。

殺鼠剤の成分

ネズミによる被害は現代だけでなく、長い歴史があります。

その歴史の中で殺鼠剤の成分も試行錯誤され、様々なものが試されました。

過去に使用されていた成分

黄リン

日本最初の殺鼠剤が1905年に発売された「黄リン」という成分を使用した黄リン系殺鼠剤の『猫いらず』という商品です。

ネズミ以外のモグラや害虫にも有効でしたが、人間に対しても有毒であるが故に黄リンを使用した自殺者が増えました。

その後犯罪に使用されることも増え、内務省によって取り締まりが強化されました。

アンツー(ANTU)

戦後には「アンツー」という成分を使用した殺鼠剤が開発されました。

こちらはネズミにのみ有毒で、人畜無害な殺鼠剤でしたが臆病で警戒心の強いネズミがなかなか食べず、効果が見出しにくいということで現在は使用されていません。

モノフルオロ酢酸ナトリウム

北米ではコヨーテ、ニュージーランドではキツネの駆除に使用されている「モノフルオロ酢酸ナトリウム」は他の殺鼠剤に比べて毒性がとても強いです。

人間に対しても有毒な成分で、現在日本では「毒物及び劇物取締法」によって特定毒物に指定されています。

そのため、一般に使用することはできず、認可を受けなければ取り扱うことができない成分です。

現在使用されている成分

ワルファリン

現在製造されている殺鼠剤の成分で最も一般的なものの一つです。

ワルファリンが使用されている殺鼠剤は3~5日ほど連続してネズミに食べさせる必要があります。

少し時間はかかりますが、ネズミは餌の位置を他のネズミに知らせる性質があるため多くのネズミを一網打尽にしやすいと言われています。

ワルファリンを摂取すると血液凝固作用のあるビタミンKの働きが阻害され、体のあらゆる臓器から出血を起こし死に至ります

ジフェチアロール

前述したワルファリンを使用した殺鼠剤が長く使用されていましたが、ワルファリンに抗体を持った「スーパーラット」と呼ばれるネズミが現れました。

そんなスーパーラットに対抗して製造されたのが「ジフェチアロール」を使用した殺鼠剤です。

毒性はワルファリンの約300倍とも言われており、一度食べさせるだけで効果を発揮します。

ただし、効果が現れるのは3日~1週間ほど時間がかかるので注意しましょう。

誤飲の危険性

現在主に使用されている「ワルファリン」と「ジフェチアロール」は犬猫に対しても有毒な成分です。

誤飲するとネズミに対しての効果と同じようにビタミンKの働きを阻害し、血液凝固作用を阻害してしまいます。

鼻出血・口腔内出血・皮下出血・吐血・血尿などを発症し、最悪の場合死に至ります。

殺鼠剤の誤飲を防ぐために

犬猫の殺鼠剤の誤飲を防ぐために日常的に行えることをご案内します。

置き場所には注意

殺鼠剤にはネズミが食べやすいように、誘引剤として糖類や小麦などが含まれているため犬猫も食べてしまう可能性があります。

犬猫がいる環境で殺鼠剤を使う場合は犬猫が触れられないような場所で使用しましょう。

また、直接食べなかったとしても殺鼠剤が撒かれている所を歩いた猫が、グルーミングによって摂取してしまうこともあります。

使用しないことが一番

殺鼠剤の誤飲を防ぐためには犬猫がいる環境では殺鼠剤を使用しないことが一番です。

どうしてもネズミの被害に困っている場合は、その道のプロであるネズミ駆除業者等に相談して、犬猫がいるので殺鼠剤を使用出来ない旨を伝えましょう。

猫の放し飼いに注意

過去に、放し飼いされていた猫が近隣住民の庭に撒かれていた殺鼠剤を食べて亡くなってしまうという事故が起こっています。

亡くなってしまった猫はかわいそうですが、勝手に近隣住民の家に入ってしまうと迷惑になってしまうケースもあります。

交通事故にあったり、感染症などにかかる確率も上がってしまうため猫の放し飼いはおすすめできません

誤飲してしまった際の対処法

万が一、犬猫が殺鼠剤を食べてしまった場合はすぐに動物病院へ行きましょう。

殺鼠剤に含まれる危険な成分が体に吸収される前に催吐処置や胃洗浄を行うのが理想です。

命に関わるため長期の治療や入院が必要になる場合があるので注意しましょう。

また、誤飲してしまったからといって飼い主様の手で無理矢理吐かせようとすると、犬猫の体に負担がかかるのでやめましょう。

殺鼠剤のように危険なものを誤飲した際に飼い主様にできることはいち早く動物病院へ連れて行ってあげることです。

【まとめ】殺鼠剤の誤飲は非常に危険!

  • 現在製造されている殺鼠剤の主成分は「ワルファリン」と「ジフェチアロール」でどちらも犬猫に有毒
  • 殺鼠剤を誤飲するとビタミンKの血液凝固作用が阻害され、最悪の場合死に至る可能性もある
  • もしも誤飲してしまったらいち早く動物病院へ行って適切な処置を受ける

今回は殺鼠剤を誤飲する危険性についてご紹介しました。

殺鼠剤にはとても危険な薬品が使用されていますがネズミが食べやすいように工夫されています。

犬猫も誤って食べてしまうことがあるのでそのような薬品の取り扱いには注意しましょう。

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鈴木 利奈RINA SUZUKI - PET FOOD ADVISER

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ペットレシピ.jpの記事を執筆・監修しています。

キャットフード勉強会・ドッグフード勉強会を運営している鈴木です。大好きな犬猫とペットフードについて深く学ぶため、講師を呼んで勉強会を開いています。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士2級、化粧品検定1級(コスメコンシェルジュ)等の資格を取得。

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